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第十一場 ページ14

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思わず部屋を飛び出した。







見ていられなかった。

…自分であんな顔、させたくせに。




風が吹き抜ける。

見上げれば、朝になったばかりの 青空。


羽織りをぎゅっと、引っ張って
私自身を抱き締めるように そうするけれど

私が暖まることを 世界が許すはずもない。





楼の裏門を抜け、行く宛もなく

この 無駄に爽やかな朝に眠りについた花街を彷徨う。




辺り一面、通りは静まり返っている。


私をどこか 別の世界へと引き離したように。

マークに あんなことをした私を
拒絶するように。





誰もいない世界。


…私だけが、佇む世界。







気付けば花街と下町を区切る塀、門のところまで辿り着いていた。

閉じ切られた門の隙間から様子を伺えば、
元気よく挨拶を交わしながら 働きに出る人々の姿。
寺子屋へ向かう子供たち。
畑へ向かう農民。商店街へ向かう商人。


…私が住んでいい世界じゃない。



溜め息を吐き、振り返る。

視線の遠くに聳え立つ、紅い城。


…呪われた、私たちの立派なお城。




もう一度、溜め息をこぼして 歩き出す。


…胸、張っていればいいじゃない。
私はあそこの楼主だ。
もう、普通の女性なんかじゃないから。


マークに嫌われたって

あの瞳を 失望させたって


それでも、いいんだよ



いいんだってば…








…ああ

見下ろす地面が なんだか歪む。



瞳を拭い、涙を乾かしたくて 空を見上げた。


この視線の先には、
花街を取り囲む塀を越えた世界を見渡せる物見(やぐら)がある。





そこへ腰掛けて、


彼は 何を思うのか





空を飛ぶ(とび)を、まっすぐに 見つめていた。














「…そこでナニしてるの、Aちゃん」


「…、」


「ダレもいないよ。キミもおいで」









私を見下ろし 気まぐれな風のように微笑む。




無意識のうちに、彼へと惹かれるように

梯子に足を掛けて 登っていく。



彼はそんな私に、手を差し伸べた。






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ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン(テンも?)がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください!更新首を長くして待っています^^ (1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月 | 作成日時:2021年1月14日 17時

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