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綺麗な青空だったのに、とっくに夕焼け空。
家路を急ぐ人々で賑わう路地を、
疲れ果てた調子で とぼとぼ歩く私たち。
それでもテイルは、私に気を遣ってるのか
笑顔を絶やさずに居てくれる。
チェさんとの再会、新たに売られた少年との面会と契約。そこまでは良いだろう。
でもなんで、私と食事の約束を取り決めるとこまで繋がるのか。…
ここぞとばかりに私を庇ってくれたテイルのお陰で、なんとかその話題をうやむやに出来、二人で逃げ帰るように彼の仕事場を飛び出した。
溜め息を吐いた私の背中を、
テイルは無言で ぽんぽんと叩いてくれた。
「で、どうするの。あの子引き取るの？」
「ええ、もちろん」
「なんだったっけ、名前」
「ショウタロウ」
「そうだそうだ」
「あとね、禿からもう一人… ジョンウの水揚げが決まったことだし、その子も今が頃合いでしょう」
「それって誰のこと？」
「ソンチャンのこと」
…もし、もしも 万が一
ジェミンの身請け話が本格的に動き出せば、かなり忙しくなる。
それ以前に春祭りの準備をしなければならないし、その前に年末年始の大宴会も準備が必要だし…。
「ふふっ(笑) …頑張れ、A」
「…頑張るわよ。皆を守るのは私の役目だから」
「おっ、めちゃくちゃかっこいいこと言うね」
「調子いいことばっか言ってんじゃないわよ」
「でも体には本当に気を付けて。いつでも助けるからなんでも言ってよ」
「そう言う割には、あんたいっつも居ないじゃない(笑)」
「あ、ばれてる？(笑)」
なんて 心を砕いて他愛無い会話をできるのも
…ここまでか。
花街の正門の前に辿り着き、門番に通行証を見せる。
夕焼けの朱に染まりながら、大通りのずっと奥に見えるのが
国内でも随一の規模を誇る私たちの城だ。
テイルは一歩、二歩と 足早に踏み出して
私もその後を歩く。
やがて楼の目の前に辿り着けば、
テイルは私に向き直って 深々と膝を折った。
「それでは、失礼致します。楼主様」
「…本日は、どうも有難うございました」
にっこり微笑む顔つきが、
さっきまでとは どこか違う。
塀の外、自由な世界で
彼が伸び伸びと見せたありのままの姿は封じ込めて
娼夫に戻ったテイルが、門の向こうへと消えていく。
心を吹き抜ける切なさは、
さっきまでの時間を楽しく過ごしてしまったことへの、代償のようだった。
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むうみん - これもしかして、、ジェミン編もテヨン編とと同じ時間軸、世界線に存在してますか？面白すぎる、、いろんな主人公の視点で見れますね。官能的だし、すきです。言葉も難しいの多くてすごい、、応援してます (2021年3月14日 17時) (
レス) id: ad7920768e (このIDを非表示/違反報告)
ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン（テンも？）がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください！更新首を長くして待っています^^ (2021年1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年1月14日 17時
