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七月一日 晴れ
今日はテヨンの二度目の誕生日だった。
初めて、お座敷でお客様に誕生日を祝って頂いた。豪華な食事とお酒を賜り、テヨンの素直な反応が 非常に愛らしかったと、そのお客様からご好評を頂戴した。
テヨンの評判は上々だ。
特に舞。彼の舞が大人気を集めている。
それに加え、あの美貌となれば、瞬く間に人気を集めるのも当たり前と言ったところか。
少し会話が苦手な一面もあるが、“それが神秘的でよい” “かえって愛らしい” とご感想を頂いている。
私も鼻が高い。
本人は少しずつ、自分の地位に誇りを持ち始めているようだ。最近は悩み、相談を持ちかけてくることも以前と比べて少なくなってきた。
どんどん成長していくテヨンは、
二年前に見た道端の少年とは見違えるほどに眩しい。
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七月二日 曇り
日付が変わり、彼が退勤してから 私の部屋に誘った。
私からの贈り物は、国内随一の職人に作らせた着物、簪、耳飾りだ。白い椿を描いた着物の荘厳さにテヨンは驚いていたが、じきに彼はこの着物を着こなすほどの男娼へ成長するだろう。
彼も喜んで、それらを受け取った。
彼は何を考えていたのだろう、
今度こそ 季節の花となっていた茉莉花を、彼の誕生日だと言うのに また私に贈ってくれた。
それを挿した花瓶を卓上に置き、今 私はこの文章を記している。純白の花弁と芳しい香りが、テヨンの横顔を思わせる。なんとも、美しい。
どれほど成長したって、
気高い男娼となったって、
彼は私に こんな風に 変わらぬ忠誠心を誓うだろう。
それを心の拠り所にしている私が、確かに居る。
もしもテヨンの心が私から離れるようなことがあれば、きっと 生きていけないんだろう。自分の体だ。自分が一番分かってる。
あの子の笑顔が、私の力になっている。
それでも、少しずつ
テヨンから 離れていかなくちゃ。
いつ、彼が私を退けるか わからない。
それくらいなら 私から退けて見せよう。
心から彼が愛しいけれど、
彼は私の所有物ではない。
それを心にしっかりと留め、今日の総括とする。
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作者名：如月
| 作成日時：2021年1月11日 10時
