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「二人とも！助かりましたわ…」
JH「いえいえ、礼ならテイリヒョンへ」
TL「いや、俺は何もしてないよ(笑)」
JH「最初にチェさんと楼主様のこと見つけたのテイリヒョンでしょ」
TL「お前もついてきてくれたじゃん」
「…ありがとう、テイル。ジェヒョンも」
JH「いいえ。また言い寄られたら呼び鈴でも鳴らしてくださいよ(笑)」
TL「あまり一人で頑張りすぎないで。俺らもいますから、ね？」
どこか得意げに微笑む彼の姿に、私も頬が綻んで
思わず声を出して笑ってしまった。
「それじゃ」と膝を折って私の前から立ち去るテイルに、私も深く礼を返す。
…彼はいつだって、私の考えることを察しては
何も言わずに助け舟を出してくれる。
ヨンホもそうだけど、そういった点からしたら
テイルはやっぱり私の一番の理解者だと思う。
そんなことを思い浮かべていれば、
ジェヒョンがなんだか物足りなさそうに私を見下ろしていることに、気付かなかった。
彼が再び、私の腰を抱き寄せて
耳元に唇が触れる、触れない ぎりぎりの距離を攻めてくる。
JH「…でも、人が呼んでるのは事実。ヌナ」
「…人前ですわよ。そう呼ぶのはおよしなさい」
あれだけ女性の相手をするときは恥じらっていたのに。
今となってはその駆け引きを楽しむ余裕が生まれ、男性としての色気を常に発するような背中に成長した。
ジェヒョンは腰をさらに
JH「テヨンイヒョンがヌナを探してた」
「…要件は？」
JH「さあ。本人に聞いてみて」
「…分かりました。伝えてくれてありがとう」
JH「俺と寝てくれなきゃやだよ、Aヌナ」
…何か人目に付くような時には、
必ず “楼主様” と呼び 敬語を使いなさい。
全ての男娼へ厳しく言ってきたつもりだ。
やすやすと破るなんて、
いい加減 シメないと駄目か。
だけど私を微笑みながら見つめるその瞳の、
不意に姿を見せる愛らしさに 私が弱いのを
彼はもう気付いている。
JH「それじゃあ、また。楼主様」
深く膝を折る。
優雅に袖を振れば、着物に描かれた紅葉がその場にふわりと舞い上がるようだった。
男らしさに磨きをかけてきている最近のジェヒョンには、どうも圧倒される。
私は一つ溜め息を吐いて、
…テヨンが私を探していると言っていた、んだよね。
再び二階へ戻り、花魁専用の部屋を目指した。
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作者名：如月
| 作成日時：2021年1月11日 10時
