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「実は今度、テヨンが花魁道中を行うことになったのです」
HC「え… そうだったんですか？」
「ええ。詳細について話し合っていたら、思いの外 話が盛り上がってしまったのですわ」
ちらりと、ヘチャンの様子を伺ってみれば
なんだか期待外れだ、とでも言うような表情を笑顔で上塗りして 私を見ている。
彼は「そうでしたか」と、早くも話題を変えるように 前を見据えた。
HC「楼主様って、テヨンイヒョンと特に親しいですよね」
「ええ」
HC「…」
否定しても、また彼は喜ぶ。
ヘチャンの目に私たちはそう映ってるわけだ。
それならば、ただ認めればよいだけの話。
面食らった顔をして、
…変な方向から探りを入れたって無駄だと自覚した様子のヘチャンは、少し真剣な眼差しを私に見せた。
HC「…どうして、あんな風に親しいのですか？」
「ふふっ、テヨンに聞いてご覧なさい」
HC「っ… いや、それはなんか… 聞き辛いっていうか、」
「あら、貴方の割には珍しいことを言うのね。いつも、誰彼構わず話しかけては楽しそうになさってるのに」
「…」
「貴方、何か様子がおかしいけれど。どうかした？」
そう、微笑んで 彼を見上げて
背中を向けた。
…これ以上、何も聞いてこないだろう。
私は真っ当なことしか言っていない。
これ以上、彼が何か探りを入れるようなことがあれば、私の目に彼が不自然に映ると
物分かりのいい彼のことだ。気付いているはず。
去り際、ヘチャンは悔しそうな顔をしていた。
それでも まだ、私を呼び止める。
再度 振り向けば
ヘチャンは真っ直ぐ、私を見つめていた。
HC「…気になったんです。もし、お二人の間に特別な関係があったら… なんて」
…特別な関係、ね。
私は微笑み、彼を見つめ返す。
自分でそう言ったくせに、困惑している様子のヘチャンは いつも飄々としている彼らしくなかった。
ここで、言ってあげよう。
今こそ彼を突き放す時。
「貴方には関係の無いことですわ」
ヘチャンに背を向ける。
誰一人として、侵入は許さない。
あたしと彼の関係は、
秘密 だなんて
そんな安っぽい言葉では片付けたくない。
あたしと彼だけ、知っていればいいの。
…ヘチャンみたいに、彼らを巻き込むわけにも いかないでしょう。
傷付き、傷つけ合うのは
あたしたちだけで 十分だ。
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作者名：如月
| 作成日時：2021年1月11日 10時
