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二人は各楼の前に並び、
深く膝を折って 礼をする。
割れんばかりの拍手、歓声に
二人はようやく笑顔を見せた。
…気品溢れる、最高級の男娼。
そんな言葉が とても似合うような笑顔。
誰もが羨む、高級品のような 微笑み。
二人を真ん中に、両隣にはテヨンさんとテンくん
その周囲、後ろにも この遊郭に勤める男娼が次々と並んで 勢揃いする。
夕闇に
それすらも背景としてしまうほど、
美しく眩い 男娼たちの姿。
TY「皆様、本日は誠に──」
『有難う御座いました！』
彼らが一斉に礼をすると
あちらこちらで、花が咲き乱れるように
その豪華絢爛な着物の裾が 揺れる。
桜の花弁が舞う、その下で
浮世とは
ジェミンが微笑む、その様子は
…他を寄せ付けない、圧倒的な存在
“花魁”と呼ぶに 相応しい。
彼の犠牲、彼の誇り、彼の意地。
そして、彼の生き様。
彼が此処で 青春の総てを費やした証は、
こんなにも、燦然と輝いている。
…どうしてだろう。
嬉しいようで、悲しいんだ。
あまりにも美しく、あまりにも残酷な
そんな世界で、彼は生きてきた。
それでも彼は、笑っている。
沢山の仲間たちと、共に
誇らしげに、胸を張って。
そして 今宵、
ジェミンはそんな 唯一無二の友人たちと
別れを告げなければならない。
…胸に迫る息苦しさと、
……赤児を宿した時のように芽生えた、
ほんの小さな決意。
視界はすっきりと晴れ、
ジェミンの笑顔が 遠くに見えた。
…彼を、守ってあげたい。
彼を、幸せにしたい。
私に、ありのままの愛を注いでくれた彼を
ありのままの彼自身を、捧げてくれる彼を
私だって、守ってあげたい。
「…Aさん。ご準備を、お願い致します」
そっと、背後から声を掛けられる。
頷いて、もう一度 前方へ振り向く。
…さようなら。
花魁の、ジェミン。
私が愛した、宝物のような 娼夫のあなた。
そして…
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まの。(プロフ) - 文ひとつひとつが美しくて儚くて世界観に完全に飲み込まれてしまい涙が止まりませんでした。素敵な作品をありがとうございます。第二章たのしみにしてます。 (2020年12月23日 17時) (
レス) id: f85dbd625a (このIDを非表示/違反報告)
みんはは(プロフ) - 初めまして。占ツクのおすすめからやってまいりました。ドキドキと儚さといろいろな感情が湧いてきました。いいお話をありがとうございます。第二幕も楽しみにしています(^^) (2020年12月22日 15時) (レス) id: bf5897c69c (このIDを非表示/違反報告)
ねね(プロフ) - とても儚く、一ページずつ進むにつれてドキドキが増していきました。まるで自分が本当にこの世界にいるような感覚になり、何度でも読みたいと思った作品でした。第二幕も楽しみにしています！ (2020年12月22日 13時) (レス) id: cf1331ef12 (このIDを非表示/違反報告)
めろん。 - 彼らの生きる世界が美しいながらもとても儚くて、読み進めていくうちに世界観にひたすら没頭し、胸が締め付けられる思いでした。とても素敵なお話でした。第二編も楽しみにしております。 (2020年12月22日 1時) (レス) id: 2ef4a3e2fe (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ。(プロフ) - はじめまして。なんという唯一無二のお話でしょうか。本当にのめり込みすぎて感情移入しすぎて儚すぎて涙が止まりません。第二章とっても楽しみです。ありがとうございました。 (2020年12月22日 0時) (レス) id: 6af44f4d13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月19日 22時
