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「…あるよ。ずっと前、働き始めた頃は何度も」
「…！」
「でも、分かるだろ」
「…」
「惚れたら、だめなんだよ」
自由な恋？
思うままに誰かと結ばれる？
…そんなの、俺たちに許されるはずが無い。
俺たちはそもそも、ここに売り飛ばされた時点で
自由に生きることを 禁じられた身体なんだ。
ジェミナは、「分かってましたよ」とでも言わんばかりに微笑む。
…そのくせ、悔しそうな顔をしてるから、
まだまだこいつも 青いね。
「…ジャニヒョン、髪めっちゃ格好いいですね」
「そうか？長くなってきたから切ろうと思ってるんだけど」
「ふふ、僕はどんなジャニヒョンでも好きです」
…ほんと、変なやつ。
きっと、自分の内心を察せられたくなくて
強引に話を切り替えたんだろうけど。
ジェミナは じゃあ、また今度 と
小さく会釈して、去っていく。
そんな、大きくなったようで まだ細い背中を見てると
もう色褪せた青春の影が
心を 通り過ぎて行った。
さあ、今夜も働こう。
懐に忍ばせておいた
身なりを ある程度整えたところで、支度場へと向かった。
台に山積みされた書類。
壁には出勤している男娼の名前が掘られた板が掛かっている。
俺はすれ違う若い衆や
「お疲れ様です」
「あっ、ジャニさん！お疲れ様です」
これ、今晩のお客様です と
時間と名前が書かれた紙を受け取る。
…見慣れない名前が、一つ。
「このAさんって人、初めてだな」
「ああ… その方、なんというか…少し不思議な方で」
「え？」
「いらっしゃるや否や、こんな風におっしゃったんですよ」
“ここのこと、一番詳しい方に会わせてもらえませんか”
…成る程、確かに 不思議そうな人だ。
緊張するようで、どこか楽しみなようで。
大広間の時計が鳴った。
さあ、部屋に戻ろう。
今日もまた、永い夜が始まる。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
