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楼主からしたら、ジェミンはきっと
何にも代えられないほどの有益な商売道具。
私が彼を引き取る際に幾ら大金を落とそうと、
ジェミンがここで働き続け、遊郭に入れるであろう収入の大きさはきっと 半端ではない。
テンくんや テヨンさんの後を継ぐのは彼だ。
間違いない。私でも分かる。
次世代の看板。
大切な、資金源。
…私が楼主だとしたら、手放したくない。
彼女の気持ちは十分に理解できる。
「如何でしょう」
嘘なんてすぐに見透かす。
…そう、心に訴えかけてくるような 鋭い瞳が
私を見上げて 微笑んでいる。
私は一呼吸おいて、
真っ直ぐと 彼女を見つめた。
「わかりました。お引き受けします」
…変な汗が心を伝った。
楼主は頷き、再び頭を下げる。
「有難うございます。恩に着ますわ」
「いえ。責任を持ってお務めします」
「…早速なのですが、水揚げをお願い申し上げる男娼をご紹介しても宜しいでしょうか」
「…はい」
楼主は頷き、戸口の方を見て 口を開く。
「入りなさい」
…鶴の一声、と言うのが ぴったりだ。
いや、ここには私と彼女しかいないけれど。
凛とした態度は、女性にして遊郭を率いるのに相応しい。
「失礼いたします」
柔らかな、高い声。
背後から、襖が開く音がする。
目を向けると、額を畳に付ける姿が目に入った。
ゆっくりと、顔を上げれば
つぶらな瞳と目が合った。
彼は立ち上がり、いそいそと楼主の隣へ移動する。
…初々しい。
挙動の一つで、彼がとても緊張しているのが分かる。
「ご挨拶なさい」
「は、はいっ…。…ジョンウと、申します。この度は宜しくお願い致します」
深々と頭を下げる彼。
楼主はジョンウと名乗った彼を、横目で厳しく見つめていた。
そして、私に向き直ると 和やかな笑顔に戻る。
…この人から心底の信頼を得るのは至難の業だろう。
「日時は、ご都合の宜しい日を後ほどお伺い致します。追って、担当の者を遣わせますわ。本日は貴重なお時間を頂き有難うございました。階下までジョンウがお送り致します」
ほら、と 楼主から声を掛けられて
その男性は 慌てて立ち上がった。
ぎこちなく襖を開ける姿。
私を見上げた震える瞳と、目が合った。
楼主は障子の前で、私に深々と 頭を下げた。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
