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「…不思議な味」
「シンハービール。合わなかった？」
「なんだろう… 飲みづらい…？(笑)」
「ふふっ！じゃあコレも美味しいよ、タイのワイン。コレはナッツ。一緒に食べる。と、美味しい！」
次から次へと出てくる。
私の知らない、見たこともない 異国の食べ物。
テンくんは実に楽しそうに、私とお酒を酌み交わす。
切子とはまた違った美しさを持つ、硝子細工の盃は
これも彼が祖国から持ち込んだものだろうか。
彼によく似合う。
人懐こい口調と、無邪気な笑顔。
この調子では、どんどん彼の世界に引きずり込まれてしまう。
暗闇の中に鈍く光る黄金は、まるで
暗闇の中で目を光らせて 獲物を狙う野獣。
豪華絢爛な家具の数々が、
私の意識を 現実から引き離していく。
…酔いが回ってきたのか、目の前が ふやける。
無邪気な顔して、毒を盛る。
彼はそんな、愉快犯。
いつしか、
私を 舐め回すように
彼は恍惚の表情を浮かべながら、
頬杖をついて 私を見つめていた。
「…ボク、Aさんに興味あった」
「…え…？」
「だってミンナ話してる、Aさんのこと。ミンナAさんが好き」
「みんなって…」
「それに、お金を沢山持ってる。ボクのことも、こんなにポンッて、買えるくらい。そんなお客様いないよ？ナニモノか分からない、キミが」
彼が“グラス”と呼んだ盃を煽りながら、
テンくんは笑みを浮かべる。
ちらっと 上目遣いで私を伺う姿が、
…攻撃の機会を狙っている 野性動物みたい。
「…知りたい。どうして、ミンナ、キミを求める？」
「…」
「ボクに教えてよ。…その身体」
その黒い爪が、伸びてくる。
…昔、どこかで聞いた。
西洋には悪魔が住んでる、って。
真っ白な肌に、
鋭い瞳と 紅い口をして
真っ黒な長い爪と、真っ黒な翼を隠し持っていると。
私の頬に触れたその手は、
血を失ったように白く 冷たい。
身体が固まって動けない。
妖美な目が、私を刺す。
その、薄い唇が
私を攫う。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
