第四場 ページ23
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「ようこそ御出下さいました」
楼主の信頼を得る
大きなお金を、ここに落とす
二つの目標を達成するために、遊郭に通いつめ始めたのが 冬の足音が聞こえてきた頃。
今では、脇道に雪が降り積もっている。
私の身体は、かなり 汚れてしまった。
…ジェミンと同じ具合に。
相変わらず、ジェミンと関係を持ってはいる。
だけど、彼の言葉に酔うことを、私は やめた。
彼は、一流の男娼として。
私は、此処を贔屓にする客の 一人として。
それぞれがすべきことを果たすためには、
ある程度の距離を保つことが 得策だと
ジェミンは雪の降る夜、
秘密を共有する子供のように無邪気な笑顔で
そう囁いた。
なんてったって、彼が一生働いて稼げる分だけのお金を 私は此処に落とさなきゃいけないわけで。
…他の男娼にうつつを抜かし、いちいち 彼らの言葉と指先に心を揺らしているようじゃ 私の目標は叶えられない。
大切なものが、するすると
身体から抜け落ちていくような感覚。
…一番、大事なものは
ジェミンが その心の中に隠し持っているけれど。
真っ暗な部屋。
他の男娼の部屋とは比べ物にならない広さだ。
ぽつり、ぽつりと変わった形をしたランタンが灯っている。室内に充満するお香は、これまで嗅いだことのない香り。
壁に掛かっている装飾品の数々には、
この国では見受けられないような 繊細な彫刻が為され、鈍く 黄金に輝いている。
見たことのないものばかり。
異国へと、迷い込んだのだろうか。
そんな暗闇へと私を誘うように、
彼は顔を上げる。
…数人の娼夫に口を聞いてもらって、ようやく ありついた。
大金を分かりやすく落とすためには、
彼を買うのが 一番の手だったんだ。
切長な瞳は、妖しさと獰猛さを併せ持っているようで
心に強烈な印象を残す。
つん、と上を向く 通った鼻筋もまた 印象的。
何よりも、そこに居るだけで溢れ出す
…お客すら寄せつけないような覇気、色気。
背筋が勝手に凍る。
遊郭には もうかなり慣れたはずなのに
…いざ、彼を目の前にすると
やっぱり他の娼夫たちとは 明らかに“違う”。
「お初にお目にかかります。テンです」
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
