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ジャニの言葉が脳裏に蘇る。
“楼主が身請けを許可するのは、ごく一部の認められたお客だけ”
“花魁は、大切な商売道具だからね”
…ここに、ジェミンが体を壊すまで働き続けて稼げるだけのお金を
もしも、私が落とした時には、
その時は……。
これは全て、ジェミンの巧妙な罠かもしれない。
引き返すなら、今が最後。
…それでも。
「…ジェミン」
私が声を掛けると、体を離して
私を見つめる 真っ黒な瞳。
外はとうに、陽が落ちて
藤色の風が、部屋に吹き込んでいた。
「きっと、またあなたに会いに来る」
「…」
「あなたを信じる馬鹿な女と思ってくれたらいいよ」
「ヌナ、それは…」
「例え嘘でも、色恋営業に乗せられてたとしても」
「そんな… 嘘なんかじゃ、」
「…それでも、ここで、あなたと会って、私が感じたこと。それを、信じてみたいって…」
…ああ、だめだ。
じんわりと目頭が熱くなる感覚に、覚えがある。
こんなだから、
毎回 毎回
どんな男性にも、切られてしまうんだ。
泣くのはもう よそう。
そう、心に誓って 何回目？
…ただ、目の前にある愛を信じたくて
必死に想って、慕って、
そして、愛してほしくて。
それでもこの手をすり抜けていく。
…私が不器用で、優柔不断で、
よく泣いてしまうからだろうか。
面倒な女だと。
使えない女だと。
些細なことで泣く女は、撥ねつけられる。
…学んだじゃない。
そして、分かってるじゃない。私が一番。
それでもまた、信じようとしてる。
…ううん、本当は もう信じてる。
“たかがこんなところと見くびったら、火傷しちゃいますよ”
視界が潤む。
顔を手で覆い、頭を横に振った。
「……ヌナ…っ、」
ジェミンが私を呼ぶ。
その腕に、私を抱き締める。
ひゅるり、と 細い音を立てて
小さな雪が 部屋に舞い込んできた。
ジェミンの温もりに包まれる。
…それでも、涙が止まらない。
「… …どうして、泣いているんですか」
「……」
「…ヌナ…」
「…あなたを、想うと」
「…」
「…胸が、苦しくて… …」
「…！」
ジェミンの腕に力が入る。
痛いよ、と 声に出す余裕もないまま
彼は私を きつく、きつく 抱き締めた。
…気付けば
ジェミンの声も、震えていた。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
