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楽器隊が素早く門から現れ、脇道に整列する。
静かに、人々の期待が 燃え上がる。
「…いよいよですね」
ジェミンが呟く。
紅の門から、ぞろぞろと
見目麗しく、豪華絢爛に着飾った少年たちが歩いてくる。
風光明媚な自然を背景にして、
華やかな音楽と共に 煌びやかな一団が各楼へと向かう姿。
脇道に集まった見物客は、黄色い歓声をあげる。
なんとも豪華だ。目で見ても、耳に聞いても。
これが花魁道中。
滅多に見られない、贅沢の限りを尽くした行進。
「…あっ、チソンイ！チョンロもいた！あそこの二人です、朱色の着物を着た二人」
「…ああ、あの二人？ジェミンのお友達？」
「はい。僕がまだ禿だった頃、ずっと一緒に居た六人のうちの二人で…」
「禿… あ、そうだ。聞きたかったことがあって」
「え？なんですか？」
「ジェミンって、今の… 位っていうのかな。今はどういう立場なの？」
「僕は太夫ですよ」
「………太夫！？」
「えっ？ …男本に書いてあるはずなんだけどなぁ。ヌナ、本当によく見ないんだね(笑)」
太夫、
…って、つまり
花魁の、すぐ下の格の 娼夫。
その若さで。
…一体、どれほどの苦労を経験して、実績を残して、この立場に辿り着いたんだろう。
少し呆気に取られてしまった。
だけど、彼に惹かれてしまう理由もよく分かる。
ある意味 天性のものも、あるのだろう。
…もっと、他の場所で
彼がその愛嬌と才能を生かせられたらいいのにな。
「…あ、馬が来た！花魁がそろそろ来ますよ」
「立派な馬… 花魁も馬に乗ってくるの？」
「いいえ。高下駄を履いて、八文字で歩いてくるんです」
ジェミンの声と共に、
ひときわ 歓声が大きくなる。
思わず前のめりになって下方を眺めれば、
消炭色、冬の香り。
金色の紋様、真っ白な椿が咲く着物。
角度によって、藤、桃、銀 と色を変える髪は
多くの簪と花で結われている。
純白の肌。
目元の紫苑。
紅が引かれた 薄い唇。
八文字で練り歩く姿は、
…大袈裟なんかじゃなくて
今まで見てきたどんな骨董品、文化財よりも美しい。
「…彼が、此処の花魁。テヨンイヒョンです」
誰もが一瞬、その姿を目にして
息を止める。
目を離せなくなる。
後光が差す、と言うよりも
周囲の色彩が、彼のために より一層輝いているように見えた。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
