第三場 ページ18
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その白銀の髪は、夕陽に照らされていた。
襖を開けると、頭を垂れていた彼。
顔を上げて、私を見るや否や
まるで「ぱあっ」と
「ヌナ…！」
「久しぶり、でもないか。ちょっとぶりだね」
「はぁ… 良かった、本当に」
「え？」
ジェミンは立ち上がって、私の手を包み込む。
さながら、飼い主に走り寄る子犬のようだ。
どこか、心の底から ほっとしたような顔。
私を見つめ、ふにゃふにゃと笑う。
「…貴女に嫌われてしまったかもと、思ったから」
「……そんなわけ、ないじゃない」
そう微笑むと、
ジェミンは一瞬 面食らったように私を見る。
そして、また
“やばい” なんて、呟いて
私の手を、引いた。
ジェミンが窓際の障子を開ける。
眼下に迫るのは、豪華絢爛に飾られた一本道。
夕日が差す中で、遊郭の使用人であろう若い男の子や女性たちが 最後の仕上げと言わんばかりに準備を進めていた。
ジェミンに促され、窓際の座布団に腰を落とす。
漆塗りの紅い柵、黄金の飾りが、
街並みと夕焼けに映えて 名画のように美しい。
ジェミンが手際良く、小さな卓に お菓子とお茶を用意してくれた。
「もうそろそろ始まりますね」
「そうだね」
「鑑賞のお供にこれを… 最近日本から輸入されたもので、“マッチャ”って言うんです。少し苦いけど、甘い菓子とよく合うんだ」
「へえ、そうなんだ。頂いてもいいかな」
「もちろん！そのためにお茶を点てる練習、してきたんですよ」
得意げな顔をして頑張る姿に、頬がほころぶ。
気付けば、手を伸ばして 彼の髪を撫でていた。
ジェミンが顔を上げて、
少しだけ はにかんだように微笑む姿に
私もまた、笑っていた。
出来上がったお茶を二人で飲みながら、
だんだんと人垣が出来上がっていく外の様子を眺める。
夕陽も大分傾いてきた。
「寒くないですか？ヌナ」
「うん、大丈夫だよ」
「…それじゃあ、僕がくっつく口実が無くなっちゃったじゃないですか。(笑)」
まあいいや、
僕をそばに居させてください
ジェミンはそう囁いて、私の腰を軽く抱き寄せた。
その刹那、鳴り響く鈴の音。
一気に人々の歓声が沸き上がった。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
