第二場 ページ11
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「ようこそ御出下さいました」
脚を折っていたって分かる。
その長い四肢、
美しい金髪を、煌めく簪で留めている。
優しげな眼差しに潜む色気が、危うい。
…ジェミンの部屋とはまた違った雰囲気。
異国情緒を感じさせる家具の数々。
寝台は特に豪華に彩られていた。
「ジャニーと申します。気軽に、ジャニと呼んで頂けたら」
「ジャニ…、外国人の方？」
「はい。
数々の装飾は、海外からの輸入品か。
彼もまた流れるような立ち居振る舞い。
この遊郭の敷居がいかに高いものなのか、実感する。
まずは乾杯。
どこか眠たげな彼の瞳が、肩の緊張を解す。
「風の噂には聞きましたよ」
「え？」
「僕に何か、聞きたいことでもあるみたいで」
「ああ… ええ、実はそうなの」
「ははっ、なんでしょうか」
「…敬語、堅苦しいからやめていいよ。私より年上でしょう？きっと」
「貴女がそう望むのなら。…お言葉に甘えて」
ゆっくり頷いて、話を聞いてくれる。
たったそれだけの仕草で伝わってくる包容力に、早くも気を許しそうだ。
…話を聞きにきただけ、なのに。
「ここの、遊郭のこと。教えてほしいの」
「…ははっ、やっぱり不思議なことを聞くんだね」
「…やっぱり？」
愉快そうに肩を揺らす。
お酒を飲み込むと、喉仏が雄々しく動いた。
ジャニは立ち上がって、私に手を差し伸べる。
暗闇に立つ姿はさながら、芸術品のような造形。
艶やかな着物の緋色が、よく似合う。
手に触れると、くすぐったい体温が 伝わった。
ジャニはそのまま私の手を引いて、
寝台へと誘う。
「…ね、ちょっと。私、話を…」
「教えてあげるよ、色々。手取り足取り」
そう言いながら、彼は歩みを止めない。
私は狼狽えて、また身体が強張った。
…その気が、無かったわけじゃないけど。
むしろ、どこか
……ジェミンの体温を、忘れたくて
かき消してほしくて、誰か他の人を選んだ。
私の頭の、もっと高いところにある 彼の整った顔。
どこからともなく漂う色気に、呑み込まれそうだ。
「…俺を買って、身体を味わわないで帰ろうとするなんて」
「…っ」
「ふふっ、そんな勿体無いこと、俺がさせないよ」
冗談っぽく笑うくせに、
背筋が震えるほど 妖しい。
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きむロン - なにこれえッち！！！やだ恥ずかしい！！！（） (2021年3月19日 10時) (
レス) id: 687bfe2f8c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるちゃん(プロフ) - 遊郭と韓国アイドルの世界ってなんだか似てるなって思いました (2021年1月25日 2時) (レス) id: a4b03772ec (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 既視感があると思ったら3年か4年前に読んでい方の作品にまた出会えて本当に感激です泣ありがとうございます！ (2021年1月3日 3時) (レス) id: 7a2ecf4d8f (このIDを非表示/違反報告)
獺 - 焦がれるほどお待ちしておりました。再び貴方の文学に触れられると思うと眦が熱くなるような気すらします。素晴らしいあなたと、素晴らしいあなたの文学が本当に大好きです。 (2020年12月20日 11時) (レス) id: 5140f050ee (このIDを非表示/違反報告)
理沙 - 文字から伝わってくる色気が凄いです…。風景が簡単に浮かんできます。設定もそれぞれに合ってて、（特にテンちゃんのキャラ最高です笑）全員がどんな風に出てくるのか今からとても楽しみです。 (2020年12月18日 21時) (レス) id: ba6de82bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2020年12月17日 17時
