瀬戸くんとあなたのわくわくミュージカル＊ﾟ (ページ4)

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☆怒る私と水玉みたいな彼ページ4

私と瀬戸くんの足は、自然と駅前のカフェに向かっていた。

横には並べない。

なんとなく、私は黒いリュックの後ろを見つめながら行進する。

２人とも無言だ。

シャララシャララ

２人をつなげるキーホルダーが鳴る。

カフェの中はお客さんのざわめき。小さく瀬戸くんの服でもつかんでみようかと思ったけど、勇気がでなかった。

ざわめき、オーダー、人の波。

はなればなれになりたくなくて小さな黒い帽子をじっとじっと目で追った。

人の間、間をぬうようにして、木のテーブルまで進んでく。

「座ろっか、A。」

「うん。」

康史は窓側、私はその向かいに座った。

「なんか飲み物でも頼む？」

「康史は？」

これからはじまることが、こわくて、でも聞きたくて、どきどき落ち着かなかった。瀬戸くんは何を考えているんだろう？

「俺は、アイスティーにする。」

「じゃあ、私も。」

瀬戸くんが店員さんに頼んでる。

「さっき、ごめんな」

瀬戸くんが話しはじめた。

「……」

返事もできない弱虫な自分。

店員さんがアイスティーを２つ運んでくる。

「話って、それだけ？」

わざといじわるになってしまう自分。

「いや、理由言いたくて。あのさ、俺、外だと無愛想っていうかカップルみたいにうまく付き合えなくて」

下を向く瀬戸くん。

知らないよ、そんなこと

「でも、それとは別の話じゃない？だってふつうに買い物してたじゃん！そのあとで彼女って言いきれないなんて変だよ。」

「ごめん、あいつに言う。ちゃんと」

泣きそうな、力を出しきってる顔の瀬戸くんを見るともう、いっかってなってきた。

「もういいよ！でもこれからはどうする？」

少し笑いながらいじわるに言ってみた。

そしたら、瀬戸くんはこっちを小さく見上げて、

「きちんと彼女って言います」

と言った。

「うんっ！まぁ当たり前だけどね！外で手も繋いでよ？」

「それは……。」

「康～史！」

「考えとく」

なんかもう大丈夫な気がした。私はこのリュックと帽子の人の彼女なんだ。だから悲しい思いしたんだ。他人じゃないからなんだ。ようやく分かった。

「家では、いちゃいちゃ康史なくせにね？」

「いいだろ別にA～」

やっぱりお子ちゃまだな～瀬戸くんは。

そこが好きなんだけどね。

大好き大好き瀬戸くん。