瀬戸くんとあなたのわくわくミュージカル＊ﾟ (ページ23)

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◇耳をつんざくあの音は試合と何かがはじまる証-高校生ver.-後半篇ページ23

ピーッ

笛の音が鳴る。

小走りに走りながらポジションに向かう瀬戸くん。

私とあつながいる側に来てくれたからしっかり見ることができる。

あつなは身をのりだし、フェンスに指をかける。

フェンスにからめた指先からあふれるまばゆい光。あつなはネイルもしているんだ。オレンジピンクに、ゴールドのラメがのっている。

五匹の蝶がゆっくりと羽を広げているみたいだった。

私はフェンスにつかまる勇気がなくて、そっと手を石段のざらざらの上に置いた。

ざっざっざっ

走る音が聞こえる。

「ねぇ、Aー。瀬戸のどんなとこが好きなのー？」

唐突な質問とあつなが出す大きな声にとまどう。

「うんっと、優しいし、かっこいいし、……ほらっ、サッカーやってるとこだって素敵じゃない？」

私の視線の延長線上には、黄色いゼッケンを身に纏った瀬戸くんの姿。

あつなは私をくるりと振り返りながら見、

「そんなの私だって分かるってー。でも、言葉で言い尽くせない良いところ、ってやっぱり好きになるとあるんだよねー。」

「あつなは？あつなは恋してないの？」

パシッ。

その時、ボールがゴールにからめとられた。

「わ～い！瀬戸と笹田のチームだよ！ふぁいとー。瀬戸ってやっぱ、サッカーうまいね。……まあ、シュートしてないけど。で、なんだっけ？」

「あっ、ああ！あつなは恋してないのって。」

「かっこいいなぁ、って人はいるけどね、ほら、瀬戸とか笹田みたいに。」

「えっ。」

予想外の答えにぎょっとしてしまう。

「あはは、うそうそ。安心して。私、人の好きな人をとるような極悪女じゃないから。あー、でも私も恋したいよー。いいなー、A。」

「あつなは恋多き乙女って感じがするのにね。」

「そーおー？じゃあさ、次のシュートが瀬戸達のシュートだったら、私はすぐに恋ができる。」

「うん。」

「相手側。ゼッケンなしのシュートだったら……何がいいと思う？」

「えっと、あつなは……３ヶ月後に彼氏ができる。」

「それじゃ、だめじゃーん。一生好きな人ができないとか結婚しないとかじゃないとー！」

あつなには、できなかった。幸せに笑顔でいてほしかったから。

「じゃあ、相手側だったら、あつなと私は一生友達！」

「えー、両方良いやつじゃーん。まっ、いいや。やろやろ。」

開始のゴングが

金色の

見えた気がした。