◇耳たぶには小さなみるく色のおもみ-高校生ver.-後半篇 ページ22
ぐっと色が濃くなった緑にふちどられたグラウンドを見ていると、まるで、虫になったようで、大きな人間を仰ぎ見ているようで怖くなった。
わーわーというサッカー部の歓声。
だれも声を出していないようなのに、
耳に残る。
パス練習をしているのだろうか。
みんなで何個かの円をつくり、その中をボールが飛んでいる。
「あ〜、早く試合とかやんないかな?それのが顔見れていいよね。」
あつながゆっくりと腰を下ろす。
私もそれに合わせてあつなの隣に行く。
「そうだね。あっ、でも、あそこに笹田くんいるよ!」
私が出した手をびしっとあつながひっぱたく。
「あんたが見なきゃいけないのは笹田じゃなくて瀬戸でしょ?せ・と・く・ん!分かる?あっ、ちなみに、笹田と同じ円にいますけどねー。」
「えっ、どこどこ?あっ、いた。」
すぐに見つけられた。
ボールを操る足元がくるくる動いて、見とれてしまう。
「A、瀬戸くーん、って呼んでみたら?喜ぶよ〜。」
「だめだめっ!マナーに反するっ。」
「うーん。じゃっ、さぁあ、終わったら話しかけよーよ。」
「なんて?」
「そうだなー。ううんっ!」
あつなが咳ばらいをして私の声を真似る。
「A、見に来ちゃった〜。瀬戸くんを〜。かっこいいね〜。すてきだったよ〜。と言いながらタオルを渡す!これ、完ぺきじゃなーい?」
「へん、へん。くねくねしすぎ、あつな。そんなんじゃないもん、私。」
「うーん。そうかな?Aなら全然悪くないと思うんだけどな。まぁ、とりあえず、話すのはけってーい!あっ、ねぇ、試合すんのかな?」
見てみると、半分ずつに分かれ、ゼッケンを来ている人もいる。
瀬戸くんは華麗に黄色のゼッケンを付けている。
「さぁ、こっから気合い出して応援だー!」
あつなの声が大きすぎて、3年生の大きな子たちが振り向く。
あつなはにこにこ。
私はなんだか眠くなってきちゃったよ。ふぁーあ。
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作者名:ユカ | 作成日時:2012年5月5日 15時