☆まって、まだまだわからないの ページ3
「駅ってあっちだよな」
「うん。そろそろ着くね」
心持ちゆっくり歩く私と瀬戸くん。
町はゆっくりゆっくり夕ぐれになっていく。
私達のまわりにはピンクでそれでいてオレンジで、そんなもやがそっと抱きしめてくれているみたいだ。
「お〜っす！！！こーじ？だよな、だよな！」
あれ？誰？だれ？
「あっ……ああ。」
帽子をそっと目深に被る瀬戸くん。
瀬戸くんと私の前にはにこにこしてる男の子。
「康史？」
私は、いつもより瀬戸くんが遠い気がして優しく声を出した。
「わるい、わるいっ！いきなり声かけて、なっ」
「いや。」
瀬戸くんは私からそっと距離を置いた。
リュックについたキーホルダーが私に笑いかけている気がした。
「このこ、お前の彼女？」
「ちげーよ、べつに」
えっ、なんで。なんで、私彼女ですけど。さっきまでいっしょに。
「またまた康史は〜！照れてるんだなっ！まぁ、いいや。今日は俺も約束あるんだ。男友達と！じゃーな！女の子もばーい！仲良くな」
なんか変な雰囲気を感じたのか、にこにこ男の子はいなくなってしまった。
「康史？」
「…………帰るか」
言い出さなきゃ絶対言ってくれない
「ねぇ、私と康史って付き合ってるよね？なんであの人に彼女って言わなかったの？」
私は泣きそうだった
空もどんより曇ってきた
私の顔が雲でぜんぶ隠れちゃえばいいのに
「ねぇ、なんか言ってよ康史！」
「言えなかった」
知ってるよ。
「そうじゃなくて、なんで？」
恥ずかしいから？嫌だから？彼女と思ってないから？
「Aは、彼女だ。けど、あいつに言ってもどうしようもない気がした。」
なんで私が瀬戸くんを責めてるみたいになってるの？
「あいつは、中・高いっしょのやつ。ごめん、」
納得できなかった。
「康史、冷たくない？外で。彼女だと思ってる？私のこと、……」
言葉が出てこなかった。
瀬戸くんは、きらきらした目をもっている。
私ももやもやがおさえられないよ。
瀬戸くん！
このまま帰っちゃうのはだめじゃない？
「A、ちゃんと俺の話したい。」
ラッキーカラー
あずきいろ
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作者名：ユカ | 作成日時：2012年5月5日 15時
