過保護な兄さん【skt】 (ページ11)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:39,122 hit

過保護10 ページ11

ある日、急にクラスのカースト上位の女の子たちに話しかけられた

兄さん目当てだろうか？

｢坂田さん、後でちょっと手伝って欲しいことがあるから体育倉庫の裏手に来て？｣

なぜそんな王道な場所を選ぶ。
その場所は告白かリンチかのどちらかしかないだろう。

私が行かないという可能性は彼女達の中にないのだろうか

｢わかった？｣

話すことは許されていないのでこくりと頷いた

お昼に食べるものは朝兄さんとコンビニに寄った時に買ったパンとジュース。
昨日のご飯は兄さんが珍しく料理をしたのでそれをお弁当にしたらしい。
見た目はアレだったがなかなか美味しかった

帰ってから着る部屋着は最近兄さんが買ってくれたもの
｢よく分からんかったけどAに似合うと思って買って来てん！｣
とサイズピッタリのものを渡された
ずっと欲しかったものなので嬉しくて毎日着て…

ここまで考えてゾッとした。
あれ、いつの間にか私の生活のほとんどに兄さんが居ないか？
そりゃあ家族だから1番近くにはいる。
だけどクラスメイトと話すことを制限する必要は？
ご飯は最近は兄さんが決めてばかり。飲むものさえそうだ。
着るものは？それも最近兄さんが沢山買ってくるものを来ているだけ……

私、兄離れしなきゃまずいな

と思っていたところで約束の時間になった。

一応行っておこうかな体育倉庫裏

｢あー、やっと来たぁ、待たせないでよ坂田さん｣

腕を引っ張られ、体育倉庫の壁に体を打ち付けられる

｢かはっ｣

｢もしかしてなんで呼ばれたかわかんない？｣

もしかして坂田さんって馬鹿？と笑う彼女たちを見て吐き気がした

間違いなく、彼女たちは嫌な人間だ。

とりあえずここから逃げなくては

と思ったその時

｢お前ら、俺のAに何しとるん？｣

｢さ、坂田先輩…っ、｣

ビクリと女の子たちが震え上がる

私の体も恐怖からカタカタと震え出す

女の子たちが、ではない。

兄さんの放っている殺気が普段では考えられないほどなのである

その殺気に気圧された女の子たちは腰を抜かした

いつの間にか私を守るように立っていた兄さんがこちらを振り返る

驚く程に綺麗な笑みだった

｢こんなに震えて、怖かったなぁ。兄ちゃんが助けに来たからな｣

ぎゅうっといつものように抱きしめられる

さっきまで兄さんに怯えていたはずなのに兄さんの体温にほっとして私も力が抜けてしまった

｢ん、よく頑張ったなぁえらいえらい。あいつらとも口聞かんで偉かったわぁ｣