Alone Together (ページ36)

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解説ページ36

Folie(フォリ)・à(ア)・Deux(ドゥ)──二人組精神病一人の妄想がもう一人に感染し、複数人で同じ妄想を共有することが特徴である

つまり、この物語は、彼ひとりによる異常奇譚ではなかったわけです。もちろん、人気の絶頂から突き落とされた彼が精神を病んだことに変わりはありませんが、それと同時に彼女も病んでいたわけです

この症状は親しい間柄でのみ発生しますから、お互いに依存しきっていた貴女たちがこれに陥ったのも無理はありません

このAlone Together、話数こそ少ないですが、物語自体に終わりはなく、常にくり返されています

会えない日々がつづき、精神を病んでしまった彼。病院へ行って処方を受けるも、薬の副作用が強く、もとの症状よりひどさを増してしまう。そんな中、心のよりどころを思いだし、寄生する。以前とは異なる風貌と言動の彼に戸惑いながらも、甲斐甲斐しく世話をやく彼女。ふたりでいれば落ちつくことのほうが多くても、やはり彼はたびたびパニックを起こし、彼女の腕からすり抜けてゆく。薬を飲めば飲むほど症状が悪化することに気づいた彼は薬をやめる方向に向かうが、なにをしてもうまくいかず、また自分の心にできた隙を埋めるよう彼女のもとへ戻ってゆく……

そして、この行為がくり返されるのち、いつの間にか彼女も取りこまれてしまいます。フォリ・ア・ドゥとはそんなものです。異常者とともに過ごすうちに自分も異常者になっているのです。しかも、それに気づくことができないのも、これの恐ろしいところです

普通を求めていた彼も、普通だと思っていた彼女も、とくに(、、、)狂っていたわけです。なんて救いのない物語でしょう。コメントでたくさん「ハッピーエンドですね」といただきましたが、……申しわけございません。この上なく不幸な終わりです。彼らはまた離れては結ばれ、依存し、その身を削ってゆくのです

それと、タイトルのAlone Togetherは決して「ふたりきり」というロマンティックな言葉ではありません

「独りよがり同士」です。精神病とはそんなものです。彼らはふたりでいても、孤独なのです