無限ループ ページ21
ここに来てから、いくつかわかったことがある
まず、見張りはあの男でなく、監視カメラであること
食事はないこと(簡易的に取りつけられた洗面所で、自ら水分を摂るだけ)
日に一度(おれの体感では。 もしかしたら寝ているときにも?)薬を打たれること
そして、この薬はとても強力であること
効いている時はすべての不安や苦痛から解放されたような心持ちになるのだが、切れると一変、飲み薬よりもたちが悪く、過去の悲しみや羞恥までもが襲いかかってくる
監視カメラに向かって叫んでも、鉄格子を揺らしても誰も来ない。 世界がおれひとりにでもなったみたいに静かなままだ
胃がひっくり返りそうな
汗か涙か、わからないものを流して、唾液をあふれさせながら、彼女に手をのばす……そして引っこめる。 おれの汚い体液で、彼女を汚してしまわないように
「Aちゃん。 Aちゃん。 Aちゃん」
彼女のやわらかい肌に触れたい。 彼女のやさしい腕に包まれたい。 彼女のすきとおる声を浴びたい
彼女、彼女、彼女を想うことでしか、正気を保っていられなくなる
脳に虫が棲んでいる。 おれの思考を喰って、抜け殻にしようとしているみたいだ
ありえない、ありえない。 そんなありえないことを、笑いとばすことができない
一週間は何日だっけ。 十日だっけ、三〇日だっけ。 ああ、長いなあ。 長い、長い。 ここで死んじまったら、どうしよう
ラッキービデオ
クッキングママ
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作者名:玲佳 | 作成日時:2020年4月4日 19時