愛の調味料 ページ6
「腹へってきたな……最近、なんも食べてなかったから」
ソファで、わたしが作ったクッションに身をあずけたキヨちゃんが、ちらりとこちらを見遣る
まだどことなく不安げな表情だが、そこにはもうあまり触れないほうがいいだろうと、わたしは笑顔で応じた
「そう。 なにか食べたいのある? 久々に会えたんだし、おいしいものでも食べに行こうか」
「それもいいけど、今日はAのごはんがいい」
てっきり、じゃあ牛タン! とくると思っていたわたしは拍子抜けした「ほんとに?」
「うん。 外食なんて、いつでもできるし、……」
傷だらけの指先をもてあそびながら、小さく呟く
「……今は、あんまりひと多いとこ行きたくない」
「そっか。 じゃあ、お家ごはんにしようね。 すぐ作るから」
「うんっ」
ぱっと顔を
「やったあ……Aのごはん……ふふ。 お嫁さんみたい」
遠くから聴こえる彼のひとりごとに照れて、指を切りそうになったのは、ここだけの話
ラッキービデオ
クッキングママ
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作者名:玲佳 | 作成日時:2020年4月4日 19時