I want you only. ページ1
どうして、わたしを閉じ込めるの？
どうして、叩いたり殴ったりするの？
どうして、なにも教えてくれないの？
どうして、わたしを好きだと言うのに、反対のことばかりするの？
「お前の反応がかわいいから」
そんな理由で、ひとの携帯を壊したの？
そんな理由で、勝手に家を引き払ったの？
そんな理由で、会社に辞職届を提出したの？
そんな理由で、わたしの足まで燃やしたの？
ねェ、智則くん。 足、皮膚がただれて、
そんなのが、本当に望んでいたことなの？
「うん。 だってお前昔からひとりでなんでもできたやろ？ 俺がおってもおらんくても。 俺、ずっと頼ってほしかってん…………」
ベッドに身体を預けるわたしのそばに腰かけて、智則くんが自嘲気味に笑う
昔と変わらない、なにを考えているのかわからない眼で
「好きやねん、A。 ホンマに……お前がおってくれたら、俺はなんっもいらんねん」
消え入りそうな声でつぶやいて、彼はこちらをふり返った。 そうして、昔とは違う、整った歯列を見せた
彼は東京へ行って、なにか変わってしまったみたい
わたしを見下ろし、そのまま唇にキスをする。 それ以上の行為を強要したことはないが、経験のないわたしには、彼が与えるキスだけでも、表しきれない刺激を持っていた
「A……口開けて」
委ねるような口調でありながら、自身の手で無理やり開かせ、その中に唾液を流し込んだ。 わたしはこの行為が、もう不快で不快でたまらない
まるで、わたしの中まで冒されているようで
「飲んで。 ……そう、えらいなあA」
(かわいいかわいいA。 お前が欲しい、お前の、心も身体も思考も視線も言葉も体温もぜんぶ。 ……そうやって思うんは、そんなにアカンことか？)
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作者名：優佳 | 作成日時：2022年10月16日 4時
