起床 ページ8
はた、と気がつくと、障子の薄紙から陽が射し込んでいた
もう朝か…………
……え?
朝?
おれはまるでタイムスリップでもしたかのように飛び起きて辺りを見回した
寝室、布団、
今自分が置かれている状況を整理する。 ……あれは、夢?
「Aちゃん……?」
それから、たしかに一緒にいたはずなのにと名前を呼べば、彼女はすでに目覚めて活動していたらしく、襖を開けて水を持ってきてくれた
「イケ、大丈夫? 昨日、お風呂で失神したんだよ」
オ風呂デ失神シタ?
「鼻血も出しててね。 ダメだよあんな長風呂しちゃ。 死んじゃうかと思ったんだから」
ほら、お水飲んで、と急かされる
……それじゃ、昨日のあれは……どこまでが…………
おれは一息に水を流し込んで、彼女に訊いた
「あのさ、昨日……おれが風呂入ってるときさ」
「んー?」
コップに水を継ぎ足し、首を傾げる彼女
「Aちゃんも、入ってきた?」
いったいどんな顔をしていたのか、彼女はおれを見て吹き出した
「あは、そんな妄想してたの。 入ってないよおイケお仕事なのに」
水の入ったピッチャーを冷蔵庫にしまいに戻るA
そのうしろで、おれは自分自身に呆れかえっていた。 彼女とあんなみだらなことをする妄想をして失神? あげく鼻血出して彼女に介抱?
…………バカじゃん。 てか、いよいよやばいな
「お風呂はまた今度ね。 イケがまた失神しないように、見張っててあげる」
しかし! おれの女神はそんなことは気にしないのだ。 胃腸が弱いのと職業柄でクーラーをつけられないおれにうちわで風を送りながら、今日のお仕事は何時からなの? と頭を撫でてくれるくらいには
「ああ、……仕事ね……仕事…………」
ちら、と横目で時計を確認する。 そして眼を見開く
「あと二〇分で集合?!」
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作者名:玲佳 | 作成日時:2021年8月14日 2時