睡魔 ページ12
「って、もぉ寝てんじゃん」
「みんな顔真っ赤だったもんね」
リビングへ抜けると、さっきまで少年のようにはしゃいでいたふたりは遠慮もなくリビングのカーペットに大の字で眠っており、その傍らでモミケンも、まあ寝てるんだか寝てないんだか、ぐらぐらと頭を揺らしながら小さくうずくまっていた
その様子を見たAは、寝室から冬用の毛布を何枚か取ってきて、三人にかけてやっていた。 ……そんなことしなくていいのに。 おまえは本当に、なんて優しいんだろうか
「じゃあ、わたし帰るね。 一応お風呂わかしてあるけど、結構酔ってるみたいだから、やめておいたほうがいいかも。 ごはんも作っておいたから、よかったら明日みんなで食べて」
「えっ、今から帰んの?」
彼女の言葉に左手の時計を確認するが、時刻はとうに夜の二時を指し示していた。 が、よく見ると彼女は、これから予定でもあるのか、メイクを施しており、よそ行きの
いったいどこへ行くの?
彼女はその質問には答えず、困ったようにほほえみながら
「せっかく友達といるのに、わたしがいたら気をつかうでしょ」
と言った
そんなわけあるかよ。 ここはおれの家なんだから、おまえに遠慮させることなんかひとつもねえよ
おれは足をふらつかせながら、彼女の腕を掴んだ
「……そんな、常識のあるやつらじゃねえし、こんな時間に外歩かせんの嫌だから……ここにいて。 お願い…………もう運転もできねえし、……そうだ、明日も仕事だし……遅刻しないように、起こして……」
「……そう」
「ちゃんと、次からは……鍵も忘れないようにするから…………ね、お願い……今日は泊まっていってよ……」
襲いくる吐き気と眠気をこらえながら、彼女を説得する。 ちらと顔を覗くと、彼女はなにを考えているのかわからない眼をしながら、そう、とつぶやいた
「そんなに言うなら、そうしようかな」
「ほんと……?」
「ほんと。 それで、明日は何時に起きるの?」
「えと、一〇時集合だから……九時ぐらいに……」
ぐらぐらする頭を抱えながらそう言うと、彼女はわかったと頷いて、ショルダーバッグを下ろした「じゃあ、明日イケが出たら帰るね」
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作者名:玲佳 | 作成日時:2021年8月14日 2時