プロローグ ページ1
おれは彼女が好きだ
そりゃあもう、狂うほど
おれのボキャブラリでは表現に限界があるが、まあ見た目も然ることながら、心の美しいこと
おれよりも口数は少ないものの、その気配りの細かさには言葉よりも気持ちが詰まっているのだ。 それでいて差別をしない。 たとえるなら
しかし、そのだれにでも優しい彼女は、おれの胸に不安をもたらすことも多い
彼女にとってはみんな同じものなんじゃないかとか、おれがいなくてもいいんじゃないかとか、
おれは自分に自信がないから、つい卑屈んなるし、束縛もしちゃう。 この、細くて吊り上がった眼。 飛び出た顎。 チャームポイントだと言い張っても、負け惜しみのようで
よく、横顔は綺麗ですねって褒められるんだけど……まあ、褒めてるつもりなんだろうけど、正直嬉しくない
だってそれ、他に褒めるとこないからでしょ?
まあ、そんな横の輪郭と声くらいしか取り柄のないおれには勿体なさすぎる彼女。 そりゃー、独り占めもしたくなるよね
うん、しゃーない
おれが彼女に恋をするのも、愛するのも、依存するのも、嫉妬するのも束縛するのも独占するのも何するのも全部全部しかたのないことだから
……だから、許してね、A。 おまえを傷つけたいわけじゃないのを、わかってね
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作者名:玲佳 | 作成日時:2021年8月14日 2時