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"ここまで連れてきてごめん"
咄嗟に発した質問に言葉を震わせながら
真っ直ぐ重岡くんの目を見て
心臓の速度が上がっているのが
自分でも分かるくらい
2人の間に流れる沈黙の空気感から
返ってきた言葉は
私の期待していた言葉とは違う答えだった。
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本当は心のどこかで
ほんの少しだけど
期待してしまったんだ。
重岡くんが私に対して
好意があるんじゃないかって
でもそれは私の勝手な思い込みと
そうであったら良いなという願望に過ぎなかった。
そんな事考えてたら
さっきまで繋いでいた手も
力が抜けて後も簡単に解けてしまった。
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告白もされてなければ
告白もしてない
だけどもう
自分の気持ちに
嘘をつくことも
後戻りする事も出来なくなった
だって、、、
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重岡くんの事が好きだと気づいたから
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「っっっっっ、大丈夫!、、学校行こう」
「、、、そうやな」
「今日は大事な体育祭の予行練習日だから頑張らないと」
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自分の気持ちに気づいたからなのか
それとも重岡くんとの間に流れる
今まで感じたことのない空気感だからなのか
恐らくどちらともだと思うけど
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「、、、、私、、先行くね」
自分に自信を持てなくて
この場から逃げ出すかの様に
重岡くんに別れを告げると
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「、、、A、待って」
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名前を呼ばれ
さっき解かれたばかりの手が
再び重なりあった。
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作者名:YUUU | 作成日時:2022年11月12日 0時