18. おやすみ ページ19
.
「……、もうええて…」
ご希望通り、ベッドの上でシーツも掛けずにぎゅーっと抱きしめてあげていたところ急にもぞもぞと動きだした彼。
『えー寝るまでって言ったのすばるくんじゃーん』
「……そうやけど。…こんなん逆に寝られへんわ(笑)」
『？』
ちょっと言ってる意味がわからない。
安心するって言ったくせに。逆にってなによ。
「……ていうか、Aまた胸でかなった？」
『え！！ほんと？』
「うん…まぁ俺のおかげやな」
つい純粋に喜んでしまったけど、にやにやしながら両手をグーパー動かす彼のことはしっかり睨んでおく。
『朝早いんだからはやく寝なよ』
「そうやな、寝るわ」
『じゃ、今度こそおやすみー』
そう言って離れようとゆっくりと背中に回していた腕を戻しかけたら、
ぐっと引っ張られて、その勢いに合わせて近づいた彼の唇が、私のそれに吸いついた。
思わず目を瞑る。
『ん…っ』
ちゅっ、と小さく音を立てて離れると、少し掠れた「おやすみ」の囁きが耳に届いた。
……するならもっとフツーにしてよ…
おやすみのキスという名目なのであれば、もっと一瞬で爽やかなものであるべきでしょ……
まあ、今さらアッサリされてもそれはそれで心配になるし、物足りないと感じてしまいそうな自分がいるのも否めないけど。
彼からのキスは、いつも不意打ちで無駄にドラマチック。乱暴に見えて、どこか丁寧で優しい。
まるでその時の感情がそのまま表れているよう。
薄暗い部屋の中、だんだんと慣れてきた目で捉えたのは、なんとも穏やかな彼の寝顔だった。
ってもう寝たんかい
早っ、さすが健康オタク。
私なんかさっきまでしてたメールのおかげで煌々とブルーライトを浴びた上に、今あなたが寝る前に残したものでさらに目が冴えちゃったっていうのに。
ずるいなあ。
でも、なんだか落ち着いて眠りについてもらえたみたいで嬉しかった。
すばるくんは、もちろんいつも男らしくて頼りになるけど、
時折、壊れてしまうんじゃないかってくらい苦しい顔を見せる。
そんな時、彼が身を寄せる相手が、いつまでも自分であればいいなと思った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぼぶこ(プロフ) - psycheighterさん» キャラ大丈夫かなと思ってたんですが、そう言っていただけて嬉しいです(笑) 大倉くんですね！ご意見ありがとうございます(^^) (2018年7月30日 15時) (
レス) id: 77ed90e035 (このIDを非表示/違反報告)
psycheighter(プロフ) - こんにちは、大倉くんの話がよみたいです。あと、会見の後もお話は読みたいと思っています。もう、すばるくんの『抱き締めてくれ』が最高に笑みがこぼれました。ありがとうございました。 (2018年7月30日 14時) (レス) id: b7d4950221 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 更新ありがとうございます。一週間たって少し落ち着いてきました。ぼぶこさんの無理のない範囲での更新をお待ちしています。 (2018年4月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 70af02b709 (このIDを非表示/違反報告)
とこに。(プロフ) - 初めまして。私は未だにあのショックを引きずっていて立ち直れていません。ですがぼぶこさんのこの小説を読んで少し穏やかになれました。私はぼぶこさんが綴る言葉が大好きです。これからも応援していきます。ありがとう。 (2018年4月20日 23時) (レス) id: 837c30b592 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 初めまして。まだまだ悲しい気持ちを引きずっていますが、ぼぶこさんの書くすばるくんに会いたいです。 (2018年4月20日 0時) (携帯から) (レス) id: 70af02b709 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぼぶこ | 作成日時：2018年4月2日 5時
