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「及川さん、岩泉さん。」


久しぶりに部活に顔を出してくれた先輩に、声をかけた。


「どったの国見ちゃん。」


金田一へ投げかけたのと同じ質問を、先輩にも投げかける。


「東雲Aって、今どこにいるか分かりますか?」


及川さんと岩泉さんは、中学が一緒だったからAの事も知っている。

どこにいるかは分からずとも、金田一のように存在を忘れているなんて事はないだろう。


…という俺の思考とは反対に、及川さんたちは顔を見合わせ、眉を少し下げた。


「その子って…、オレ達も知ってる子?」


優しい、曖昧な表情でそう聞く及川さん。

岩泉さんも、全く見当もつかないといった表情を浮かべている。


「…あ、いい、です。
俺の勘違いでした、すみません。」


人の記憶というものは、ここまで脆弱だったのか。


…俺が、俺がもっとちゃんと連絡を取っていれば良かった。

もっと会いに行けば良かった。

このまま自然消滅…、いや、既に終わってる…?



後悔ばかりが頭を巡って、この日も全く集中出来なかった。

8→←6



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作者名:匿名くん | 作成日時:2018年8月5日 2時

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