I don't want to forget (ページ2)

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あれから、隆二のおかげで入学式の会場に遅れることなく着いた。

いや、だいぶ余裕があった。

さすが隆二くん。
しっかりしてる。私とは大違いだ。

そんな事を考えていたらあっという間に入学式も終わった。

学年の先生が紹介されてから食堂に通され、
「この紙を見てから各教室に移動してください」
そう言って掲示板に5枚の紙が貼られた。

1年1組担任→北野
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今市隆二
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桜木A

あった。私の名前。
隆二とは同じクラスになった。
嬉しい反面、何だか今年も騒がしくなりそう。

同じクラスの人たちは担任の先生に連れられ、
私は隆二を誘って一緒に教室に向かった。

歩いていると、途端に肩に重みを感じた。

？『ねぇ、Aちゃん。覚えてる?』

「ん?」

振り返ると、そこには小柄な、いかにも華奢という言葉が似合う女の子が立っていた。

ん一誰だっけ…?
知ってるような……

？『バト部の夏野日菜子(ひなこ)だけど』

あ!そうだ!!
思い出した!

「南中の日菜ちゃんだ!久しぶり!
え！日菜ちゃん髪切ったんだ!」

彼女のセミロングだったきれいな黒髪は、
まるで別人のように茶色に染められ肩につかないくらいのショートボブだった。

うちの高校はそこそこの進学校なのに
メイクも髪染めもハデすぎなきゃ大丈夫。
3年生だけは受験もあるし禁止なんだけど。

日菜ちゃんと私とは南中と東中の練習試合の時に私が何度も宣戦布告して、お互いに話しが合って意気投合したのがきっかけ。

受験生になってから、急に遊ばなくなっちゃったけど毎月3･4回どこか遊びに行ってはお互いの中学校の話しをしていた。

前はもっと大人っぽい感じだった日菜ちゃんだったのに、本当に別人みたい。

まさか、日菜ちゃんと一緒の高校になるなんてね。
ほんとにびっくりだよ。

日菜『まさか、Aちゃんと一緒とはね』

おぃおぃ!
「私も思ってた」

その言葉で2人とも微笑む。
何だかんだで、気が合うんです、私たち。

隣にいる隆二は何が何だか分からないみたい。
ごめん、隆二のこと忘れてた。

「こちらは日菜子ちゃん。」
「こちらは隆二くん。」

隆『Aちゃんの友達?
日菜子ちゃんよろしくね』

花がパッと咲いたようなまんべんの笑顔。
これぞにゃんちゅうスマイル。

日菜『よろしく、隆二くん』

日菜ちゃんの方をチラッと見るとこちらは乙女の顔をしている。

さすがの日菜ちゃんも隆二の笑顔には勝てないみたいです。