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驚き ページ10

「いやー、ごめんね?」


と、顔の前で手を合わせるA。


「ええよ」


びりびりになったビニール袋を捨てて、新しい袋に入った荷物を持つ。

申し訳ないわー、とAは笑っているけど、本当に思っているのか疑いたくなるほどだ。


「あ、そうそう」


「どしたん?」


「阪神戦、観に行きたいんやけど、どうやってチケット取ったらいいん?」


それなら俺があげる、そう言ったけど、Aはあくまでも、自分で取りたいようだ。

甲子園で直接買う方法もあるけど、今はネットで買うべきかな。


「じゃあ、スマホ出して?」


スマホ、という単語を聞いて、Aはきょとんとしている。


「スマホ、って、スマートフォン?」


なんでそんな当たり前のことを聞くんだ。


「そうやで?」


ああ、と一人で納得している。

そして、悩んだ様子でAは口を開いた。


「携帯、持ってへんねんけど」


「……え?」


いや、Aはもう大人。

学生じゃあるまいし、今時の若者だ。

それでもスマホ……、携帯すら持っていないのか。

まあ、必要としないから持っていないんだよな。

うん、そうだ。


「じゃあ、甲子園で買おうか」


自分との対話を終了して、Aに返事をする。

こうやって買うのだ、と手取り足取り教えて、その場を後にしようとする。


「あ、史くん待って!」


"史くん"


それだけで胸が鳴る俺は、おかしいのだろうか。

くるっと踵を返して、Aを見つめる。


「教えてくれてありがとう。それと__」


恥ずかしそうに顔を赤らめるA。


え、まじで? これ、告白とかあるんじゃない?


あるある。こいこい、告白!!





Aは意を決したように、俺の顔を見た。

そして、耳元に口を近づけて、呟く。



「__チャック、全開」



俺のときめきタイム返してください。


開きっぱなしの社会の窓を締めながら、俺は呟くのであった。

試合→←だめっすねえ



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設定タグ:プロ野球 , 阪神タイガース , 北條史也   
作品ジャンル:恋愛
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はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» おー!お疲れ様です!次は私がテストだ笑 あ、新作の短編集も作ったんで、良ければどうぞ!(宣伝笑) (2018年5月27日 21時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - はな!テスト終わってようやくこれました笑完結おめでとう!毎話毎話楽しく読ませてもらってました。お疲れさん(^o^) (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» そうです!頑張るよお!^ ^ (2018年4月22日 17時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - お、北条くん落ちだ!頑張ってね(*^^*) (2018年4月22日 17時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はなつー | 作者ホームページ:プロ野球  
作成日時:2018年4月22日 13時

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