再・初恋 ページ27
そして、迎えた一ヶ月後。
「史くん、こっちこっち!」
そう言って、笑顔で手を振るA。
「あんまりはしゃぐなよー?」
と、駆け出す俺。
Aの手術は成功したのだ。
今までにないような病気だった。それにもかかわらず、手術が成功したのは、A本人の、生きたい、という気持ちが強かったからだ、と主治医の先生が言っていた。
「もう、遅いって!」
「ごめんごめん」
Aの髪に、桜の花がついた。
「あ、桜」
その花びらは綺麗なハート型をしている。
「ふふ」
Aは花びらを見つめて、微笑む。
「あ、史くん」
そして、思い出したかのように俺の名前を呼んだ。
「どしたん?」
Aは、鞄をごそごそとあさっている。
やっと、物を見つけたようだ。Aは手に手紙を握っている。
「これ、手紙」
と、手紙を俺に差し出した。
不思議そうに手紙を見る俺に、Aは言う。
「もし、手術が失敗して、私がいなくなったら、史くんに渡してもらおうと思ってたの」
この手紙を、先生からじゃなく、Aから渡されたことに喜びながら、俺は手紙の封を切る。
手紙を読み終わった後に、頰が濡れていることに気づいた。
「史くん、泣きすぎ!」
笑って馬鹿にするAだけど、こんな手紙を読んで泣かない方がおかしい。
「うるさいなあ、でも、ありがとう」
へったくそな笑顔で笑い返せば、Aが俺の手を握った。
「史くん、これからよろしくね」
「こちらこそ、よろしく」
俺の二度目の初恋、再・初恋とでもいうのだろうか。
一年をかけた、再・初恋が、報われた瞬間だった。
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はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» おー!お疲れ様です!次は私がテストだ笑 あ、新作の短編集も作ったんで、良ければどうぞ!(宣伝笑) (2018年5月27日 21時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - はな!テスト終わってようやくこれました笑完結おめでとう!毎話毎話楽しく読ませてもらってました。お疲れさん(^o^) (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» そうです!頑張るよお!^ ^ (2018年4月22日 17時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - お、北条くん落ちだ!頑張ってね(*^^*) (2018年4月22日 17時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
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