来てほしくなかった、この日 ページ25
あのAの微笑みから数日。
Aから、話があると呼び出された。
「来たでー?」
そう言って、カーテンを開けると、Aと目があった。
いつもの笑顔で出迎えてくれたが、やはり疲れているように見えた。
「史くん、来てくれてありがとう」
「ううん、で、どうしたん?」
Aは一つ咳払いをして、口を開いた。
「今日で、しばらく史くんには会えへんくなると思う」
それは、俺にとって死ぬほど辛い告白。
ああ、ついに来てしまったんだ、この日が。
いつか、会いにくくなる日が来ることはわかっていたつもりだった。
それでも、いざその日が来るとなると、そう簡単には受け入れられない。
必死で動揺を隠して、そうか、と答えた。
「史くんは、私に会えへんくなって悲しくないん?」
Aは、悲しそうに笑って、何もない天を仰いだ。
「そ、そんなわけないやん!」
あってはならない誤解をされた俺は、焦りまくる。
そして、そんな俺を見てAは笑う。
つられて、俺も笑う。
どちらからともなく、顔を近づけて、口付けを交わす。
ゆっくりと離れたその瞬間に、面会時間の終わりを知らせるメロディが流れ始めた。
「はは、ナイスタイミング」
と、俺が呟くと、Aは不思議そうな顔をした。
「だって、このままやったら気まずい……」
俺はそう言って頭をかいた。
それから、Aはにっこり笑って俺の名前を呼んだ。
「史くん、待っとってな?」
「当たり前やん」
なぜか固い握手をする。
そして俺は、後ろ髪を引かれる思いで病室から出たのだった。
35人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» おー!お疲れ様です!次は私がテストだ笑 あ、新作の短編集も作ったんで、良ければどうぞ!(宣伝笑) (2018年5月27日 21時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - はな!テスト終わってようやくこれました笑完結おめでとう!毎話毎話楽しく読ませてもらってました。お疲れさん(^o^) (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» そうです!頑張るよお!^ ^ (2018年4月22日 17時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - お、北条くん落ちだ!頑張ってね(*^^*) (2018年4月22日 17時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ