好きって ページ24
どきどき心臓がうるさい。
こんなに緊張してしまう原因をつくったのは、目の前にいる笑顔の女の子、Aだ。
「どしたん、史くん」
関西のイントネーション、史くんっていう呼び方。Aの話す言葉、起こす行動、一つひとつにどきどきする。今も、昔も、ずっと。
ベットの横にあるパイプ椅子に腰掛けて、もうすっかり細くなってしまった、Aの手を握る。
「A」
と、真剣な声色で名前を呼べば、名前の顔はみるみるうちに赤くなっていった。
そして、ためらいがちに俺の目を見る。
今流れている空気は、間違いなく、幸せな空気だ。
きっと、俺が何を言い出すのか、Aは察しているはずだ。
「A、あのな」
もう一度、名前を呼んでから話し出す。
「俺、Aのことが好き。Aはしんどいときやと思う。こんな俺やし、頼りないけど、Aのことを支えたいねん。だから、その、えっと……」
大事なところで言葉が出てこない。
恥ずかしい、ヤバい、どうしよう、いろんなことが頭に浮かぶ。
それでも、俺は頑張って最後まで言う。
「__俺と、付き合ってください」
言い終わって、頭をめいっぱいに下げる。
「史くん」
そのAの心地よい声に顔を上げると、そこには頰を濡らしたAがいた。
「私も、史くんのことが好き。好きだよ」
噛みしめるように放たれたその言葉に、俺は喜びをあらわにする。
「だけど、私はいついなくなっちゃうかわからないよ?」
Aは、重くならないように慎重に言った。だけど、一番怖いのはAなんだと、改めて感じた。
俺は、椅子から立ち上がって、Aを抱きしめた。
よく、こんな大胆なことが出来たと思う。
体が勝手に動き出して、気づいたらAを抱きしめていた。重症だな、俺。
「ふ、み、くん……?」
戸惑いを隠せていないA。
細い体を折れないように、優しく、でもぎゅっと力を込めた。
「そんなん関係ない。俺がAのことを好きやねん」
今更ながら恥ずかしくなった俺は、ゆっくりとAから離れた。
そして、再びAを見ると、Aは微笑んでいた。
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はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» おー!お疲れ様です!次は私がテストだ笑 あ、新作の短編集も作ったんで、良ければどうぞ!(宣伝笑) (2018年5月27日 21時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - はな!テスト終わってようやくこれました笑完結おめでとう!毎話毎話楽しく読ませてもらってました。お疲れさん(^o^) (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» そうです!頑張るよお!^ ^ (2018年4月22日 17時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - お、北条くん落ちだ!頑張ってね(*^^*) (2018年4月22日 17時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
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