へっぽこ男子の再・初恋

長い間 ページ17

俺は考えていた。

Aが、俺のことを忘れてしまったわけを。


記憶喪失……？
なにが原因でそんなことになったんだ。

事故のショックで記憶を失ったとか？
記憶を失うほどの事故なら、まだ入院していてもおかしくないはずだ。

しばらく会えなかったとはいえ、数週間のことだ。人のことを忘れるなんて、ありえるか？


「はあ」


どれだけ悩んでも、出てくるのはため息ばかり。

答えなんて、出た試しがない。


結局、こういうのは本人に聞くのが一番だと思う。

でも、もしも、Aが他人には言えないような秘密を持っていたとしたら……。

そんな風に思うと、なかなか行動には移せなかった。


俺が悩んでいる間も、時間は変わっていくもの。

変わらないものがあるとすれば、俺の気持ち、とか？

いや、こんな恥ずかしいこと言ってる場合じゃないだろう。


兎にも角にも、答えを出さないことには始まらない。


「どうしよ……」


悩んだ挙句、俺は靴を履いていた。


＿＿しかし。


俺が決意したときには、もう遅かった。

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