イメチェン? ページ13
風にそよぐ長い髪。
一度も染めたことがないのであろう。
俺なら、彼女をシャンプーのCMに抜擢する。間違いない。
「どしたん、この髪に見とれてんの?」
くすくす笑うA。
「見とれてるというか……、髪、どしたん?」
その美しい髪が、あごのラインで切り揃えられている。
「うーん、イメチェン?」
と言って、短い髪をかきあげる。
もはやその仕草さえ愛しいが、それでも慣れないものだ。
「まあ、似合ってる……けど」
「あれ、いまいち?」
Aは眉を下げた。
「いや、似合ってるよ。見慣れへんだけ」
自分で言っていても恥ずかしい。
短いのも好き、そう言ってしまえば、どれだけ楽になれることか。
しかし、この意気地無しが邪魔をする。
「それなら良かった」
Aはまだ続ける。
「だって、史くんのために切ったんやもん」
え、ん?
聞き間違いかな? うん、そうだな。
「な、なな、何言うてんねん」
焦りすぎて、乾いた笑いしか出ない。
「もう一回言おか?」
「いえ、大丈夫です」
Aは満足そうな表情を浮かべている。
「史くん、茹でダコみたい」
あはは、と笑うAが憎くて仕方ない。
Aは何の気なしに言っているだろうけど、そのひと言で、俺はどきどきしているんだ。
そういうことに自覚を持ってほしい。
__いや、俺が言わないとだめか。
「なあ、A」
まだ笑いが収まっていないらしいAを呼ぶ。
目に涙を浮かべてこっちを向いた。
うるうるした瞳を見つめて、深呼吸する。
言わなきゃ、好きだって。
言わなきゃ、付き合ってほしいって。
なのに。
「いや、なんでもない」
俺はそっぽを向いてしまう。
今日も、弱い自分のままだった。
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はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» おー!お疲れ様です!次は私がテストだ笑 あ、新作の短編集も作ったんで、良ければどうぞ!(宣伝笑) (2018年5月27日 21時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - はな!テスト終わってようやくこれました笑完結おめでとう!毎話毎話楽しく読ませてもらってました。お疲れさん(^o^) (2018年5月27日 20時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
はなつー(プロフ) - 花蓮@carploveさん» そうです!頑張るよお!^ ^ (2018年4月22日 17時) (レス) id: 75f8f2fbcb (このIDを非表示/違反報告)
花蓮@carplove(プロフ) - お、北条くん落ちだ!頑張ってね(*^^*) (2018年4月22日 17時) (レス) id: 9ae88586f0 (このIDを非表示/違反報告)
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