怪談-49話 ページ50
トイレ掃除の最中、花子くんが寧々ちゃんの様子が変であることを言及する。
何気にこの掃除に参加するのは初めてのような気がする。
ま、そんなことは置いといて。
確かに彼女の様子は変だ。特に花子くんと僕に対しては何か考え込むような様子を見せる。
「それに、サカキだって」
「え?」
僕も何だか元気がなさそうに見えるらしい。
まぁ、昨日のことがあったからね。あの後入ってきたあまねくんにも心配される始末だ。
結局あれは一体なんだったんだろう。
「…色々あって。」
「色々ってナニ〜。ハッ、まさか浮気でもしたの!?」
「してない…って、そもそも付き合ってない!」
彼の冗談には困ったものだが少しだけ元気が出た。
もしかしたらあれは僕が殺してしまった人達の怨みの塊なのかもしれない。
あんなに膨大な殺意を向けられるなんて生まれて初めてだ。足が思うように動かず、膝の力が徐々に無くなる。立っているのがやっとだった。
「…」
思い出すだけで手が震える。
「よーしよしよし」
花子くんが僕の頭をぐちゃぐちゃに撫で回す。
「何して…」
「後で聞かせてもらうよ。」
耳元で声がする。あの二人には聞こえないぐらいの声量だ。
そっと彼の顔を見ると有無を言わせない笑みを浮かべていた。
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その後、トイレで花子くんと2人きりになった。彼に隠して秘密を探ろうとした罪悪感から上手く目を合わせられない。
「話してよ。」
彼は狡い。自分のことは話さないくせにこうやって聞き出そうとしてくる。
「何があったの?」
恐らくあれは怪異だと思う。だったら花子くんに話す方が得策だ。
昨夜の出来事を伝えた。得体の知れない恐怖をまた思い出してしまう。
「大丈夫だヨ。」
正面から抱きしめられ、胸が五月蝿く鼓動を打つ。
「僕も殺されるのかな…?」
今度は僕が彼らに殺される番なのかもしれない。残酷な事をしてしまった報いを受ける時が来てしまったのだろうか。
当然の事だ。
あんなことをしてしまったのだから、さぞ怨みは深いだろう。このまま彼らに八つ裂きにされるべきなのだ。
「そんなことさせない。俺が、サカキを守るから。」
大勢の命を踏みにじっても尚、生きたい。死にたくない。そう思ってしまう僕はもはや化け物だ。
それでも…彼らと友達でいたい。
「…ありがとう。」
もうどうしたらいいのか…分からない。
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続編に移行します。
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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時