怪談-44話 ページ45
不味い……!
「無断で持ち帰られると困るんだよ。全く、躾のなってねぇガキだな。なぁ……7番サマ。」
「いじめちゃダメ。」
花子くんの言葉でやっと開放される。本は先生の手に渡ってしまった。
まだ十分な情報は得てないけど、今はそれよりももっと不味いことになった。
「なんで本のこと隠してたの……?」
寧々ちゃんが悲しそうに呟く。光くんも気になるのか黙ってこっちを見つめてきた。
「……それは、」
何も言えず下を向く僕に、既に彼らは失望したかもしれない。
「……ま、この件はまた後で。」
助け舟を出してくれたのは花子くんだった。
『もう何も思い出そうとしないで……』
あの時の彼との約束も破ってしまった。寧々ちゃんも光くんもあまねくんも……僕は皆の期待を裏切った。
じわじわと罪悪感が僕を包み込んでいく。
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「はぁ!!?」
「ひ、ひみつー!?」
七不思議の中に裏切り者がいる。それが誰かわからないから片っ端から全部の七不思議を無くしてから作り直す……中々の強行手段だ。
だけど、誰もが素直に首を縦に降るとは思えない。現にこの書庫の管理人である先生……土籠も知りたがりな怪異との事で、
個人的な秘密の暴露を要求してきた。
「3人が答えられなかったらどーするの?俺と喧嘩する?」
「まさか。依代は渡しますよ。だが腹いせにお前らの恥ずかしい秘密を校内放送で垂れ流してやる。せいぜい俺を楽しませろよ……ガキどもォ。」
舌を出して笑うその顔はまさに怪異そのもの。隣にいる光くんと寧々ちゃんは体をガタガタと震えさせていた。
かくいう僕も例外ではなく、同じように顔が青ざめていることだろう。
「い、いきます!」
寧々ちゃんが元気に手を挙げて秘密を叫ぶ。それを後ろで見守りつつ何を言おうか考えていた。
幸い秘密は多い。記憶がないこと、殺人を犯したこと、生前の花子くんと交流していること、境界を持っていること……
「ぎゃあああ!!」
寧々ちゃんが負けて地面にうずくまった。
「次は俺だ!」
順番が着々と近づいてくる。まだ光くんがいるから時間が稼げる……
「俺は……鬼の面が怖い!!」
「次の人どうぞー」
早い!!
予想以上に早い!!
「さぁ……どんな秘密を話してくれるやら。」
視線が集まる。
額から一筋の汗が流れた。
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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時