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怪談-32話 ページ33

酷い目にあった……。




放課後花子くんの所へ行こうとしていると、蒼井くんと山吹くんに凄い勢いで迫られた。


かくいう僕はその二人の形相に耐えきれずに全力で廊下をダッシュした。いつもの僕じゃあ考えられないくらいの速さでね。



「……つ、疲れた。」



たまたま現れた僕の部屋(ナイスタイミング!)に駆け込み鍵を閉める。戸を背にへたりこんだ僕の髪はボサボサで鞄は肩からずり落ちていた。



結局、花子くんには会えなかったな……。



寧々ちゃんも葵ちゃんも無事だったみたいだし、彼もきっと元気にしている筈だ。



ならきっと今すぐ会わなくても大丈夫だろう。というのも、僕はこの部屋で花子くんこと、あまねくんに何度も会っている。



時間軸は関係ないからね。学校では1日しか経っていなくとも僕の中では3日、いや1週間だって調節出来る。扉の前で行きたい時間軸を念じればできるようになった。





流石僕の部屋だ。




「さてと、今日もあまねくんが来るまでゆっくり読書でもしようかな……!」



途端に部屋の鍵が開く音がした。



「あまね……くん?」



ゆっくりと開いた扉の先に立っていたのはあまねくんで……



「?」



あまねくんは部屋を見渡した後、僕の顔を見て大きな金色の目を輝かせた。


「スゲー!あまねがいってたのってホントにあったんだ!」



「え……き、君は……」



背格好や来ている服はあまねくんとそっくりだけどなんか違う。彼の方が幼くて、少し背が低いのかな。



「俺?俺はね、つかさ。お兄さんはもしかしてー、Aおにーちゃん?」



そういえば、あまねくんが幼少期のとき夏祭りで弟と来ているって行ってたな。もしかして、その弟っていうのが双子で、今目の前にいるつかさって子の事だったのかな。



「そ、そうだよ。ところで、あまねくんはどうしたの?鍵は彼が持ってたと思うんだけど……。」



「……ふーん」



ぞわりと背筋に寒気が走る。目の前の彼は猫のように目を細めて笑っている。



花子くんとよく似たその顔だが、彼とは似ても似つかない。記憶の中の違和感と共に……居心地の悪い視線。




「あまね、最近構ってくれないんだよねー。放課後一緒に帰ろうって言っても用事があるとか言ってさー。」



拗ねたような口調で語りながらも不穏な空気は消えない。



「代わりに俺を癒してよ。ね?いいでしょ?」



もしかしたら、あまねくんは相当危ない環境に居たのかもしれない。彼を見ているとそんな気がしてならなかった。

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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時

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