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怪談-28話 ページ29

誰かに名前を呼ばれて目が覚める。重い瞼を開けると目の前に花子くんがいた。


戻ってきたの……?



「源くんは!?それに、Aくんも……」


「少年なら、」



花子くんがズボンのポケットを何やらゴソゴソする。そこから出てきたのは……


「源くん!?」



こ、こんなに可愛くなっちゃって……。目の前に差し出された源くんによく似たお人形を撫でる。不謹慎だけど可愛い。



「うぅ……」



苦しそうな呻き声が聞こえた方に目をやるとAくんが眉間に皺を寄せて倒れていた。



慌てて彼の肩をゆさゆさと揺さぶってみたが、煩わしそうな声をあげるだけで眠ったまま起きる気配はない。



取り敢えず、大丈夫そうで良かった。




「少年は勇敢に戦ったよ。……サカキも。」



「Aくんが……?」



源くんは払い屋だから怪異とも戦えることは知ってる。でも、Aくんは私と同じ一般人なのに。



もう一度視線を戻すと気持ちよさそうに眠る彼の姿。源くんは人形にされてしまったのに、彼はどうして?



い、いや、別に怪我が無いことは何よりなのよ?そういう事じゃなくて……



『葵ちゃんが人形になったのは必然だったんだ。君のせいじゃない。』



あの時の彼は凄く優しくて……一瞬、一瞬だけ、



凄く恐かった。



--------------------




「キツネさんなんて呼んだら今度は噛みちぎるわよ!」



キツネうどんの方がよかったかしら。



そのままそっぽを向いたかと思ったら彼女は最後に振り返ってこう言った。



「彼、優しいのね。」


「え?」



ヤコさん?の目線の先を追うとそこにはAくんの姿。



「こっちは本気でやってたのに、その子は一度もアタシに向かってこなかった。」



もう一人の子を守ろうとしてたみたいだけど、馬鹿みたいに突っ込んできたからそれも叶わなかったみたいだけど。



「……その気になれば、それなりに強いと思うんだけど。」



やっぱり……変だよ。



小さく芽生えた疑問の種は花を開いた。まだ未熟ではあったけど、心に深く根を張っている。



「そうだよ。サカキは優しいんだ。」



隣にいる花子くんは落ち着いた声で話す。



「恐いくらいにね。」



馬鹿みたい、そう言ってヤコさんは今度こそ去っていった。



「……ねぇ、花子くん。」



静かになったからかやけに自分の声が大きく聞こえる。



「花子くんは、Aくんと……どういう関係なの?」


ずっと聞きたかったこと。花子くんは一瞬目を見開いたあと怪しく微笑んだ。

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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時

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