怪談-2話 ページ3
じーっと見ていた為か不審げに先生が声をかけてきた。ハッとして、意識を正面に戻す。
「…転校生の榊Aです。よろしくお願いします。」
無難な事を言い頭を下げる。皆が食い入るように見詰めて来る中窓辺の1番後ろの席に通された。
「よろしくね。」
隣に座っていた女子生徒と軽く挨拶を交し席に着く。凄く順応しているかのように見えるけどそうじゃない。
びっくりしすぎて何も出来ないだけ。人間、余りにも非現実的な状況に置かれるとこんなにも静かになるのか。
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僕を取り残して時間は進む。
授業中、休み時間……全ての時間を考えることに費やした。
けど、何をしていたか、何が原因なのか、1つとして分かるものはなかった。
「あ、あの!榊君……?」
「一体……何がどうなって……」
「…むぅ」
只管考える。休み時間に色々な人に話しかけられたが全て曖昧な返事しか出来なかった。
ここが既に漫画の世界であるということは分かっている。この可愛らしいヒロインが居る時点でもう既に。
だったら原因を探して、それをどーにかする。それが今できる最大限の事だろう。
だから、人間関係なんて……
「わっー!!」
「うわっ!?え!?何……!?」
「あ、ごごめんね……?榊君全然こっち見てくれなかったから……つい。」
少し頬を赤らめた彼女は案の定八尋寧々。どうやら考えることに集中してたみたいで話しかけられたことに気が付かなかったようだ。
「いや、こっちこそごめんね。それで、君は?」
一応初対面の設定だし……聞かないと変だよね。
「私、八尋寧々!部活は園芸部、特技はお料理とお裁縫。よろしくね、榊君!」
「へぇー、料理とお裁縫ができるんだ。女の子らしくて素敵だね。」
ニコっと笑いながら言う。あんまりよく知らないけど、見た目通り女の子らしくて可愛い子だな。
「女の子らしい……っ、う、嬉しい……!」
頬を赤らめて喜んでくれている。可愛いなぁ。ふわふわでまさに女の子!って感じ……。あぁ可愛い。
……てえっダメダメ!彼女と僕は住む世界が違うんだ!
早いとこ帰る方法を見つけないと……!
「あー、寧々ちゃん。早速話しかけてるの?」
ふふ。と笑いながら近づいてきた女の子。
「あ、葵!紹介するね!私の大親友の赤根葵。」
それから3人で話をしていくうちに次第にこの物語の要、七不思議の話へとなっていった。
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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時