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怪談-11話 ページ12

『やめて』
『お願い』



『殺さないで!!』



「……くんっ……榊くんっ!!」


「っ!……ど、どうしたの?」


ハッとして顔を上げると心配そうにこっちを覗き込む八尋さんの顔があった。


「どうしたの?っじゃないわよ!今まで何してたの!?どうして1週間も学校に来なかったのよ!」


「い、1週間……?」


そんなはずない。だって昨日振りだよ?1日しか経ってない筈だよ?


「やっぱり……あの時の花子さんのこと根に持ってるのね。」


キッとすごい勢いで八尋さんが花子くんを睨む。ビクッと肩を揺らした彼は申し訳なさそうに眉を下げた。


「ご、ごめんサカキ。そんなに、嫌がると思ってなくて……」


「嫌がるに決まってるじゃない!会って間もない、しかも同性にキ、キスされたんだよ!?」


「……ごめん。」


いつも彼女をからかって遊んでいるあの彼がシュンとしている。なんか見てるこっちが可哀想になってきた。



「八尋さん、もうその辺で……」


「良くないっ!」


僕のために怒ってくれているのはとっても嬉しいよ。嬉しいけど、もう流石に花子くんがいたたまれない。


ああ、ほら!今にも消えてしまいそう……っ!


「べ、別に嫌じゃなかったよ!最初はびっくりしたけど……さ。」


だってあれって人魚の鱗を飲み込ませるために仕方なくやった事でしょ?


「だから……僕は大丈夫だよ。ね?」


花子くんの両手を掴んでニコっと笑う。彼は頬を赤らめると途端にムスッとした顔でそっぽを向く。


「……じゃなかったら?」


「え?なんて、言ったの?」


「〜〜〜っ!し、仕方なくじゃなかったら……って聞いてんの……」


それって……


段々と顔に熱が集まる。何も答えられないでいると八尋さんの頭に例のうさぎが落ちてきた。



「いたっ」



それからそのうさぎは物怪という怪異であり、怪異は噂に逆らえないことを聞いた。



「いいよ!噂、変えてあげる。榊くんもいいよね!?」


「勿論。でも、その前に……」



鍵、返して?



手を差し出すと以外にも物怪は素直に鍵を返してくれた。


「それ、なんの鍵?」


「これ?うーん、なんていうか……僕の、僕だけの桃源郷への鍵、かな。」



えー何それーと笑う彼女とじゃれ合う。



そんなAの姿と、その首元で揺れる鍵を見つめる彼。彼の手は軽く触れるように自身の胸元に当てられていた。

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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時

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