怪談-10話 ページ11
おはよう。いい朝だね。
……て言いたいとこだけど。ここから見える景色はいっつも夕方なんだよね。
本当にどうなってんだか。何度カーテンと扉を開けたり閉めたりしても、なーんも変わんないんだから。
「はぁ、あの二人と顔合わせずらいなー。」
花子くんは置いといて、八尋さんを放ったらかしにして逃げちゃったし……。
てか、大体あれもこれもそれも全部花子くんが悪いんだ!
花子くんが、いきなりあんなことするから…。思い出しそうになって思わず首を振る。
「きっと、あれは何かの間違いだ。そうだそうに決まってる。人魚の鱗を飲ませるだけの物で深い意味なんかない。……忘れよう。うん。」
あ、別に誰に言うでもないけど一応心の中だけで花子くんって呼んでるんだ。2人の前では花子さんって読んでた方がいいかなーって思って。
部屋を出るといつもとは違う廊下に出た。
旧校舎の廊下だ。誰もいない。もしかしてこの部屋出てくる場所は学園内のランダムなのかな。
「なんだお前」
「見ない顔だな」
「アメやる」
「うわぁ!?な、何だこの生き物!?」
ピンクのうさぎ……?よく見ると可愛いかも。人差し指でつんつんと押してみる。
「もふもふだぁ。可愛い……」
「やめろ」
「潰すぞ」
え、案外怖い……。これもなんかの怪異なのかな。これといって特に害はなさそうだし、ほっこりするなぁ。
「とった」
「かくせ」
「にげろー」
取った……?隠せ……?
遠くの方に走っていく3匹のうさぎ?達。その先頭にいるやつの耳に鍵の着いたネックレスが巻きついていた。
「……え?……ええっーー!!?ちょっ、返して!それが無いと家に帰れな……っ!」
胸元を確認してみるとやはり無かった。取られた!誰だよほっこりするとか言ったの。全然ほっこりしないじゃんっ!!
「きゃああああ!!」
この声は……八尋さん!?
うさぎ達が走っていった方向から八尋さんの叫び声がする。急いで駆けつけると今にも襲われそうな状態の彼女がいた。
「八尋さんっ!!」
「さ、榊くん!?」
腰が抜けたような彼女の前に立ち両手を広げる。沢山の目がギョロりと僕を見つめた。
「蹴散らせ!白杖代っ」
咄嗟に八尋さんを抱きしめる。彼女も必死に僕に捕まるように蹲った。
「ヤシロはすーぐイケメンと怪異に引っかかるんだら。人なんてすぐ死んじゃうんだからさ、ね?」
「花子さん……」
人なんて簡単に死んじゃう……。
簡単に、死んだ。
彼奴らも、皆、皆……
「榊くん……?」
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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時