怪談-1話 ページ2
気がついたらベッドの上だった。
なんのことはない。見慣れたいつもの自室。
視界の端で白いカーテンがふわふわと揺れていた。
窓……開けっ放しだったのか。
茜色の夕日が差し込む。遠くの方で子供たちが家に帰るように促す、懐かしく、寂しげな音楽がなっていた。
一体僕は何をしていたんだっけ……。
気怠げな体をゆっくりと動かし部屋の中央へ立つ。家の中はしんっと静まり返っており、まるで、僕だけが取り残されたような……寂しげな雰囲気が漂っていた。
1階にあるリビングへ向かおう。ドアへ向かい、銀色のノブに手をかける。
普段意識することもなかったドアを開けるという動作。だが、寝ぼけた頭でも片隅では分かっていた。
何かがおかしい。無意識に警戒するように、ゆっくりとドアノブを捻る。
その刹那、目の前が白い光に包まれた。あまりの眩しさに目を瞑る。
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恐る恐る目を開ける。
「…え!?……えっ!!?」
信じられない。有り得ない。
落ち着け……!いや、落ち着いてられるか!!
瞼を開けると僕は何処かの学校の廊下に立っていた。
何処だよここ!!
待って。ついさっきまで家にいたよな?……一体……何がどうなって……!?
「あ!いたいた。」
振り向くと知らない人がこっちを手招きしていた。え、不審者?……違う。真面目そうなその人の手には出席簿。恐らく教師だろう。
固まっているとその人はどうしたの?といった風にこっちを見つめてくる。
「……ぁ、いま、行きます……。」
兎に角よく分からないが行った方が良さそうだ。先ずは情報を集めよう。ここは何処で、何がどうなっているか知る為にも。
「紹介します。転校生の榊A君です。自己紹介、お願いします。」
教室に入るなり大勢の生徒の前に立たされる。僕が呆気にとられていると一人の女の子が呟いた。
「イ、イケメン……!」
チラリとそちらに目をやる。
「!?」
あ、あれ?なんか、見たことあるぞ。白い髪にドクロのペンダント……それから特徴的なあの足首っ!!
間違いない……。あれは八尋寧々だ。
いやまさか、そんな筈は。だとしたら、だって、あれは漫画のキャラクターだぞ。
僕はまだ夢でも見ているのだろうか。
茜色に染った部屋。
どちらが幻なのか。この時はまだ何も知る由もなかった。
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イロハ(プロフ) - thirdさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです^^*更新、頑張ります! (2021年2月10日 13時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
third - ヤベー!メッッチャお上手ですね!最高すぎる…続きめっちゃ気になります…応援してます! (2021年2月9日 20時) (レス) id: ea6df43fbb (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります(´˘`*) (2020年11月23日 17時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
猫築かなめ - 面白いです!夢主くんの過去や普、花子くんとの関係が気になります!更新頑張ってください (2020年11月23日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年11月19日 11時