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戯言2-6 ページ7

「私、あなたのこと知ってるわ。小さな探偵。子供のようで子供じゃない。大人のようで大人じゃない。曖昧な探偵。」


う腐腐……と笑う母さんはとても嬉しそうだ。


「ど、どうして僕のことを知ってるの?」


「よく聞くから。」


工藤君が更に質問しようとするのを遮って部屋に案内する。2階の階段を登りながら色々な話をした。


主にさっき会った僕の母さんについてだ。


「A君のお母さん、とっても綺麗だね。」


「腐ってるけどね。」


母さんの左腕がぎこちなかっただろ。工藤君と服部くんは気づいてたみたいだけど、あえて言わせてもらう。


母さんは左肩から下が壊死してしまった。だからあれは義手なんだ。



「理由は僕も知らない。」


「家族やのに?」


和葉ちゃんがすかさず声を上げる。


「家族だからこそさ。家族だからこそ、知らなくていい。」


子供に秘密があるように、親にも子供に言えないような秘密がある。


その秘密を知ろうとしてはいけない。知ってしまえばもう元の関係には戻れない。危うい綱渡り、それが本来の家族の形だ。


……自分たちは血の繋がった親子だからーなんて、そんな単純な理由で安心しきっているなんて愚鈍だよ。


「さ、着いたよ。」


別に長くもない道のりを進み、扉を開けて彼らを中へ招く。


「普通やな。」


「何を期待してたの?」


服部君はあわあわとして何かを誤魔化し始めた。工藤君と何を企んでるのか知らないけど、男子高校生の部屋に変な期待は持たないで欲しい。


「A兄ちゃん、これ何?」


いつの間にか部屋の隅に積み重ねていた本を手に工藤君が問いかけてくる。


「見たとおり本だよ。」


「でも、全部白紙だよ?」


本と言うより元漫画という方が正しい。その漫画には元々名探偵コナンの物語が描かれていた。


今では綺麗さっぱり無くなってしまった。漫画も、この世界の住人の名探偵コナンに関する知識も全て白紙になった。


僕だけが彼らを知っている。


「白紙でも本は本だ。紙の無い本よりかはずっと本らしいだろ。」


特に残す意味もないが、捨てるのも面倒臭くてしていなかった。別に腐るものでもないし、後ででもいいだろう。



……しかし、家に他人がいるとは不思議な気分だ。



友達なんて無価値な者だと思っていた。だから、当然家に来る同年代の子は彼らが初めてだ。



「……架空でもいい。」


吐き出された言葉は誰にも届くことはなく、静かに、微睡む視界の隅に消えていった。

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イロハ(プロフ) - いろ#病み兎さん» 読んでいただき本当にありがとうございます´`*そんな風に言って頂けて凄く嬉しいです。多少ひねくれててもいいんです!皆がみんな漫画の主人公みたいに生きれません!笑共感、ありがとうございます´ω`* (2020年12月8日 12時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
いろ#病み兎(プロフ) - コメント失礼します。俺のめっちゃ好みの作品でした。俺自身、多少ひねくれているところがあって、なんとなく共感。話の内容から文章まで全部好きです。もう少し早く読みたかったなぁ… (2020年12月7日 23時) (レス) id: eab5cadf24 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - いちごミルクさん» ありのままを受け入れてくれてありがとうございます^^*大好き。 (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - トアさん» 全然失礼ちゃう!どんどんして笑爆走します。風のように。コメントありがとうございます^^* (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - なゆさん» めっちゃ嬉しい!ありがとうございます^^*頑張る!更新!!楽しいありがとう!! (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イロハ | 作成日時:2020年7月2日 8時

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