戯言2-5 ページ6
このままでは駄目だ。この状態がずっと続けば……あいつはいつか、本当に人を手にかけてしまう。
それだけは何としてでも阻止しなくては。
「おい工藤。あいつ、なんやヤバい奴とちゃうか?」
しゃがんで手で口元を隠すようにヒソヒソと声をかけてきた服部。
小さくあぁと返し、現段階でのAについての情報を彼に話す。
「なるほどなー。……この際、あいつの家見てみたらどうや?」
「家?なんの為に?」
「家っちゅーより環境やな。何か分かるかもしれへんで。」
なるほど。一理ある。
少し離れて蘭達と話すAを見やる。またおどけた様な態度に和葉ちゃんが人差し指を立てて何かを抗議していた。
そんな彼に手招きをする。後ろの方で彼女達は不思議そうな顔をしていたが、また別の話に花を咲かせていた。
「僕の家?何でそんな藪から棒に。」
「あー……なんや、俺らも出会ってから間もないしな〜。友達になるんやったらどんな家に住んでんのか知りたい思ったんや。」
チラチラと目を合わせてくる服部に目でその調子だと訴える。
Aは初めは怪訝そうな表情をしていたが、服部が話す内容を聞いているうちに次第に無邪気な子供のように目をキラキラさせていった。
「しょーがないなー。“友達”だからね!友達には特別に…僕の隅から隅まで、あんな所やこんな所も包み隠さず見せてあげよう!!」
あんな所やこんな所……。
「ちょっとコナン君!?鼻血、鼻血!」
蘭にすかさずティッシュを顔に押し付けられる。
服部とAはまた同じムカつく笑みでこっちを見下ろしていた。あいつら仲良過ぎだろ。
✯
「何でお前らまで……」
俺、A、蘭、服部、和葉ちゃんの五人が扉の前に立つ。世良は服部が上手く誤魔化して帰らせた。
蘭達はただ単に興味があったから来たらしい。
「ただいまー。今日友達が来たんだ。」
Aが扉を開け、玄関をくぐる。意外にも綺麗に掃除されたフローリングの向こう側から綺麗な女性の声が響く。
「友達?あらあら友達??本当に友達?本当に本当に本当に友達なの?」
「本当に本当に本当に友達だよ。」
彼とよく似た髪と瞳の色をした綺麗な女性がパタパタとスリッパの音を立てながら出てくる。Aがもし女性だったならもっと似ていたのかもしれない。
「こ、こんにちはー……!?」
子供らしく笑顔で挨拶をすれば、動きを止めたAの母親はずいっと顔を俺に寄せてきた。
「う腐腐。」
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イロハ(プロフ) - いろ#病み兎さん» 読んでいただき本当にありがとうございます´`*そんな風に言って頂けて凄く嬉しいです。多少ひねくれててもいいんです!皆がみんな漫画の主人公みたいに生きれません!笑共感、ありがとうございます´ω`* (2020年12月8日 12時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
いろ#病み兎(プロフ) - コメント失礼します。俺のめっちゃ好みの作品でした。俺自身、多少ひねくれているところがあって、なんとなく共感。話の内容から文章まで全部好きです。もう少し早く読みたかったなぁ… (2020年12月7日 23時) (レス) id: eab5cadf24 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - いちごミルクさん» ありのままを受け入れてくれてありがとうございます^^*大好き。 (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - トアさん» 全然失礼ちゃう!どんどんして笑爆走します。風のように。コメントありがとうございます^^* (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - なゆさん» めっちゃ嬉しい!ありがとうございます^^*頑張る!更新!!楽しいありがとう!! (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年7月2日 8時