【名探偵コナン】唯の戯言 Part2

戯言2-29 ページ31

僅か6歳、少年は神となった。


神なんてチンケな事を言ってしまったけど、神は神でも死神だ。あ、僕の場合は生きてるから生神ともいうかな。



「……人が、人間が神になんざなれるわけねぇだろ。お前がやろうとしているのは唯の“人殺し”だ。」


低い声で静かに怒りを露わにする。



「“人殺し”？そいつは聞き捨てなんねーぜ。第一こいつは人じゃない。人の命をなんとも思ってないような人でなしだ。人でないなら殺したところで人殺しにはならねーよ。」


いつも通りの笑顔で言って退ける。それが彼にとっては大層気にに食わなかったようだ。見てみなよと言いたいとこだが文字でしか表せないのが残念だよ。


「喧嘩もその辺にしときなさい。……ねぇ坊や。貴方が好きだと思っている男は本当にそこまでいい人なのかしら？」


工藤君には主人公とした輝かしい未来がある。それを僕なんかに台詞なし(台無し)にされちゃ困るだろう。


「俺は、いい人が好きなんじゃない。性格が良かろうと悪かろうと、主人公だろうとモブだろうと、強気だろうと弱虫だろうと、正直者だろうと嘘吐きだろうと……





……他でもない、神代Aが好きなんだ。」



正直気持ちが悪い。
ここまで好意を見せられると吐き気がするほど気持ち悪い。無意識に眉間に皺が寄った。


✯


「きもいよ。お前。」


初めてAの顔に焦りが見えた。


「……うるせーよ。大体オメーの言動は矛盾だらけなんだよ。」


嫌いだと言いながら好きだと言うし、好きになって欲しくなさそうな態度をしときながら俺にキスをした。



おかしいだろ？


「なんであの時俺にキスをしたんだ。諦めて欲しいなら最初から期待させるようなことすんじゃねーよ。」


俺が蘭にしたように、オメーも俺に同じような事をしてんじゃねーか。


「いや……同じじゃねーな。俺はオメーみたいに期待させるようなことはしてない。オメーは俺よりも質が悪い。」


蘭を混乱させてしまったのは、俺が蘭を好きだと勘違いした怪盗キッドのせいだ。悪い事をしたとは思っているが、俺本人じゃない。


「戯言も大概にしろよ。いつまでも甘ったれた事言ってんじゃねーぞ！」


自分を守ってばっかの奴が神になんかなれるわけねーだろバカ。


「いいから戻ってこい、神代A！！俺はオメーがどれだけ酷いことをしても笑って許すなんてことはぜってーにしねえ。」


好きだからこそ、俺はお前を許さない。他の人と同じように罪を償ってもらう。


それが探偵だからだ。

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