戯言2-21 ページ23
周りを囲む同じ制服を着た女の子達。皆口々に僕の顔の怪我について心配の声をかけてくれる。
「大丈夫?A君。拉致されたって聞いて本当に心配したんだからね?」
「君達に心配させてしまうなんて僕も罪な男だ。でもそれは仕方の無い事なんだ。僕がどうしようもなくそんな君たちの虜になってしまっているんだからさ。」
黄色い悲鳴が目の前を飛び交う。
これだから転校生は辞められないんだ!
初めに紳士的な態度を取ってさえおけば無条件で女の子たちが僕を持て囃す。
「ちょっとあんた達さっさとあっち行きなさい!今から大事な話があるんだから……」
手でシッシッとやる彼女に押されて女の子達は不服を垂れながらも自分の席へ戻って行った。
「どうしたの?もしかして妬いちゃった?園子ちゃん。」
そう揶揄うと僕の頭を重くチョップしてきた。
「妬くわけないでしょっ!アンタに騙されてるのが可哀想だったから助けてあげただけよ。」
「怪我人にさらに怪我させるとか君も酷い人だねー。でも安心して!君がどんなに酷い人であろうと女の子であり続ける限り嫌いになることはないからさ。」
「相変わらず気持ち悪い事言うわね……。」
学校では嘘の仮面を被ろうと思ってたんだけど、彼女達が居る限りそれも叶いそうにない。
此処はどうやら他とは違い随分と平和思考の登場人物で形成されているようだし。
丁度良かったよ。塗り固めるのも飽きてきた頃だ。
「で?要件は?告白でもすんの?」
「誰があんたなんかに……、って違うの。……なんて言うか…… その、」
もじもじとバツの悪そうな顔をする園子ちゃん。早くしてくれないかな。
学校が終わったら工藤君と待ち合わせをしているんだ。
例の倉庫拉致事件の首謀者があんなに大勢の仲間を集められたきっかけを探るために聞き込みを一緒する予定だ。
確かに全て僕に対する恨みのある奴らだけど、それぞれが別の場面で関わりなく存在していたはずだ。
僕にパンツを履かせてくれたあの心優しいおっさんだって、中学の時にはなんの接点もなかった。
小学生の時にあの人のお孫さんが僕のせいで首を吊ったのは言うまでもない。あれは彼奴が悪い。やられた事を倍にしてやり返したら勝手に死んだ。それだけ。
「……ごめんなさい。なんか気にさわるような事言っちゃったみたいで…」
「なんだ、そんな事。態々謝らなくても心配いらないよ。」
気にしないで。
触る触らない以前に初めから届いてすらいないから。
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イロハ(プロフ) - いろ#病み兎さん» 読んでいただき本当にありがとうございます´`*そんな風に言って頂けて凄く嬉しいです。多少ひねくれててもいいんです!皆がみんな漫画の主人公みたいに生きれません!笑共感、ありがとうございます´ω`* (2020年12月8日 12時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
いろ#病み兎(プロフ) - コメント失礼します。俺のめっちゃ好みの作品でした。俺自身、多少ひねくれているところがあって、なんとなく共感。話の内容から文章まで全部好きです。もう少し早く読みたかったなぁ… (2020年12月7日 23時) (レス) id: eab5cadf24 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - いちごミルクさん» ありのままを受け入れてくれてありがとうございます^^*大好き。 (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - トアさん» 全然失礼ちゃう!どんどんして笑爆走します。風のように。コメントありがとうございます^^* (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - なゆさん» めっちゃ嬉しい!ありがとうございます^^*頑張る!更新!!楽しいありがとう!! (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年7月2日 8時