戯言2-19 ページ21
「痛いよ工藤君。もうちょっと優しくしてよ…。」
事情聴取の後、一応ということで病院へと言われたが特に重大な怪我はないとの事で断った。
「我慢しろよ。」
「いてて。……たく、本当にガサツだなー。」
ベッドの上に座って僕の部屋にあった救急箱でおでこの怪我や口端の切れた部分を治療していく。
あの男に蹴られて青あざが出来たお腹にも湿布を貼ってくれた。
改めて見ると割とボロボロだな。剥がされた服も踏んずけられてクタクタだし、警察には頑張って取り付けた小細工が見つかって説教の末没収されたし。
ほんと、踏んだり蹴ったりだ。
「……無事でよかった。」
背中に回されていた腕が正常に動くか確認していると小さくも、安堵の気持ちが含まれた声が聞こえた。
俯いたまま彼は動かない。
「無事と言えるかわかんないけどね。けど、まぁ……助けてくれてありがとう。」
「!……A…」
顔を上げた彼に勢いよく抱きつかれる。その反動に少し後ろに倒れそうになるが片手で自身の体を支えて阻止する。
ズキンッ……
「あ痛てぇ!!?」
「どうしたんだよ!?まだ何処か痛むのか!?」
お、お尻が痛い……!?
無理やりだったからか。あの時それどころじゃなかったため忘れていたが今になってすごく痛い。
「オメー、まさか……!?どこまでやられたんだ!?おいA!返事しろ!!」
まんまと騙されて自分よりも弱いやつに良いように使われて。下から見上げていた男を今度は自分が見下げてさぞかし気分が良かった事だろう。
あの男は本当にやるつもりだったのか。今では聞くことは叶わないがそこに愛などなく、ただ復讐に駆られた人間の欲望だけがあの瞬間を渦巻いていた。
微かに垣間見えた男の恍惚とした表情と混ざり合いながら。
「……潮時だよ、工藤君。」
あまりの痛みにベッドに伏せたが布団を握りしめて起き上がる。
「嫌われ者に明日はあっても希望はない。分かるだろ?今度は君がこんな目に会うかもしれねーんだ。」
僕と一緒に居る君なんかはたちまち狙われるだろう。子供という社会的弱者の立ち位置にある君は恰好の的だ。
「……俺は逃げねーぞ。何処にも。お前を守ってみせる。」
恋愛ドラマみたいに離れてまたくっついて絆が深まるなんてウザったらしいことはしない。
「!?何して……っ、」
「だったら僕が危なくなった時にちゃんと
両手で彼の首を左右から締め上げる。
確かな殺意を込めて。
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イロハ(プロフ) - いろ#病み兎さん» 読んでいただき本当にありがとうございます´`*そんな風に言って頂けて凄く嬉しいです。多少ひねくれててもいいんです!皆がみんな漫画の主人公みたいに生きれません!笑共感、ありがとうございます´ω`* (2020年12月8日 12時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
いろ#病み兎(プロフ) - コメント失礼します。俺のめっちゃ好みの作品でした。俺自身、多少ひねくれているところがあって、なんとなく共感。話の内容から文章まで全部好きです。もう少し早く読みたかったなぁ… (2020年12月7日 23時) (レス) id: eab5cadf24 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - いちごミルクさん» ありのままを受け入れてくれてありがとうございます^^*大好き。 (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - トアさん» 全然失礼ちゃう!どんどんして笑爆走します。風のように。コメントありがとうございます^^* (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
イロハ(プロフ) - なゆさん» めっちゃ嬉しい!ありがとうございます^^*頑張る!更新!!楽しいありがとう!! (2020年7月22日 18時) (レス) id: b47f502e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2020年7月2日 8時