戯言3-4 ページ5
ミラ王女が注がれたワインを飲む寸前で、コナン君がそれを阻止する。
気の毒に。母親と兄弟を亡くした上、自分まで殺されそうになっているなんて。おまけにその国では嫌われ者ときた。
目暮警部と高木刑事が訪れて、僕達は別室で詳しい話を聞くこととなった。僕だけは事実上彼らと初対面な為、軽く挨拶する。さして重要人物として見られていないため直ぐに話題は事件について切り替わった。
別室へ移動してる最中、誰かに肩をトントンと叩かれる。
「ねぇ、私とデートしない?」
振り向くとそこに居たのは不二子ちゃん。ウインクしながら肩に腕を回してくる。僕よりも身長の高い彼女からしたら丁度いい高さなんだろう。
「……」
前を歩く彼らは気づいていない。
✮
気がつくとどこかの駐車場の中だった。大きなバイクの荷台にロープで動かないよう座らされていた。腕は後ろに回され、話せないよう口に布が回されている。
誘拐は何回されても慣れないな。いや、そもそも慣れる方がおかしい話だ。この世界に来てから大胆な犯罪が多くなった。
元々みんなから疎まれてる僕からしたら、地獄のような世界ではある。
それに、こう何度も何度も縛られて連れ去られていては情けなくなってくる。……ん?そもそも僕が情けなくなかった時なんてあっただろうか。
「あら〜ん?やっとお目覚めかしら。寝坊助さんね♡」
いや、今はそんなとこはどうでもいい。今重要なのは、僕を連れ去った犯人はとっても美人だということだ!
「ホントに…あなた、誰!?その子は一体何なの!?」
「そんなに嫌ならホテルに帰る?……朝まで私と遊んだ方が楽しくない?」
その場にいたミラ王女は押し黙る。蘭ちゃんの制服を着てる彼女は尚更見分けがつかないほど似ている。ただの女子高生みたいだ。
という事は、かの有名なお着替えシーンはもう終わってしまったのか……。がっくしと肩を落とす。
その様子を見て2人が首を傾げてたことは知らない。
「何見てんの?気持ち悪い…てゆーかなんで縛られてるの?」
「うふふ、若い男の子を縛っておきたくてつい♡」
「ついって……」
僕が話せないことを良いことに好き放題言ってくれる。好きで縛られてるわけじゃないけど、このまましばらく様子を見ておこう。
「さ、行くわよ。ちょーっと狭いけどしっかり捕まっててね。」
大型のバイクだから詰めて座れば3人乗るのは可能だろう。1番後ろの席で荷物のように扱われる始末。
こんな屈辱も、慣れてしまえばどうにでもなるもんだ。
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イロハ(プロフ) - セイさん» セイ様へ、長い間お待たせてすみません。ですが覚えてくださった方がいてくれてとても嬉しいです。コメントまでして下さって、もっともっと精進しつつ続けていきたいと思いました。これからもよろしくお願いします*ˊᵕˋ* (1月10日 11時) (レス) @page16 id: 7c23aeb2f0 (このIDを非表示/違反報告)
セイ(プロフ) - 続編ありがとうございます。更新通知が来て舞いあがっちゃいました。また神代君の戯言が見られて嬉しいです。欠けた心を持つ神代君と彼に振り回される主人公達が大好きです。次の更新も楽しみにお待ちしております。 (1月10日 8時) (レス) id: ec218c72f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2023年12月24日 19時